負け癖の克服

失敗のトラウマ

投資の目的は元手を増やすと言う形で利益を上げることです。
つまり、元手も利益も増えて行くことが投資家の意図するところと言う事になります。

当然のことですが、投資には金銭欲と言う欲望が大きく絡んでいるので、順調に利益が上がっていれば良いのですが、そうでなくなってくると精神的にも資金的にも追い込まれてゆきます。

これは欲望の質や大きさ、それを抑制するメンタリティの未熟さの程度によって、深く追いつめられることもあります。

この意図や欲望の求めるものと反した結果が訪れた時にそれとどのように付き合い、その状況にどう対処するかでその後の投資との付き合い方が決まります。

仮に資金が底をついたとしても、今トレードを行っていると言う事は少なくとも一度は元手を準備できたと言う事ですから、その元手が極端に無理な調達をしたものでない限り、資金については気持ちを切り替えれば再び準備できる可能性があり、今回の失敗を糧に一旦リセットして再チャレンジと言う事は可能性としてはあり得るはずです。

ところが多くの投資家は失敗をきっかけに再チャレンジをすることなく相場を去ってゆきます。

中には何度もウマい投資話に引っかかることを繰り返すと言うタイプの人もいるかもしれませんが、そう言うケースはここで述べようとしている話とはやや違うかもしれません。

多くの場合一度相場で痛い目に合うとなかなかリセットできないのです。
その痛い目にあった時にリセットが難しいのは資金ではなくむしろメンタルであると言う事が言いたいのです。

相場には平常心で取り組むべきだと良く言いますが、繰り返し言うと、投資の失敗によって受けるダメージのうち、重要なのは資金ではなくメンタルだと言う事です。

その失敗によってもたらされた感情が、その失敗を教訓とするような冷静で前向きなものでない限り、トラウマのようなわだかまりや恐怖心を植え付けられて平常心を損なうことで、仮にその失敗後に投資を継続したり、再開したりしたときに、チャンスを冷静に測れなくなってゆき、そこから投資のスタイルが崩れてやがて自滅してゆく事になります。

心の曇り

先の投資はギャンブルではないと言う項で灘株太郎さんが「勝ち癖」を付けたいから今儲かっている相場でもう少し続けたいと言った意図を師匠に伝えたところ「ギャンブルではない」と戒められる部分がありましたが、この「勝ち癖」と言うのが「負け癖」の対義語であると考えると、株太郎さんは「負け癖」を経験している可能性があります。

つまりこの時見せた「勝ち癖」へのこだわりは以前の失敗のストレスのなせるものだろうと言う事です。

冷静・平常な心で初めてある程度は正確に把握できる相場の動きは、少しの勝手な思いこみやこだわり、偏見で見えなくなります。

これはチャンスを見つける目を曇らせ、ピンチを見つける目も曇らせていると言うことになります。
平常心で相場を見ている師匠にはこの相場はもう売り時であることが見えているわけですが、そこまでの順調さに高揚した株太郎さんの方は、「勝ち癖」と言う相場で利益を上げるための投資判断とは縁もゆかりもないものを持ち出してきて、その感情へのこだわりでトレードを行っているわけで、株太郎さんはここで師匠が居なけば自分はまた「負け癖」と付き合う羽目になっていたといっているわけです。

こうして客観的に見ると「勝ち癖」と言うのは普段「負け癖」と付き合っている投資家のセコイこだわりのように思えますが、客観的に見えていないだけで多くの個人投資家はこれに類似した了見で投資を行っているのです。

  翻弄される判断力

「師匠の思い出」では師匠が損得に付きまとう欲の対象である「お金」と言うものの捉え方、投資家としてのお金に対する心の持ち方について語っている部分があります。

灘株太郎さんが以前大きな損失を出した株が再び値上がりを始めた時、株太郎さんは思わぬ損失で苦しめられた銘柄などもう目にしたくもないと言うことで、関心を示さないどころか、まるでその銘柄を仇であるかのように感じていました。 ところが、師匠はその銘柄が株太郎さんの仇であることを知っていながら、それを「もう一度買いなさい」と株太郎さんにとって思わぬ提案をします。

損失を食らってその商いに感傷的になっている株太郎さんにすれば、とても違和感のある提案なのですが師匠の方は儲かる目が出てきたら素直にそれに乗れば良いと言っているわけです。
ビジネスだから銘柄の好き嫌いや自分の銘柄に対する感情・こだわりなどは目の前の利益とは無関係であり、むしろそうした感情こそチャンスを見る目を曇らせているわけです。

「もう一度買いなさい」と師匠に言われた時の株太郎さんの思いは「いままで、俺はそんなこと考えたこともなかったんだ。ロスカットした銘柄は未練を持つより株価ボードから消したりしてた。」というものです。

これは多くの個人投資家がかなり共感できる感情でしょう。
まあ、失敗した銘柄に対するマイナス感情とはある種の怨念かもしれません。

それに対して師匠は「取り戻せば問題ないよ」とさらりと語っています。
簡単そうで、これはかなり難しい考え方です。

これがさらりと言えるのは師匠の言う「負けない投資」のメンタルです。
この冷静さこそが「負けないようにする」事の出来る人の特徴でしょう。

ここで師匠は損したり得したりする目安であるお金と言うものを、そのお金の持つ価値として膨らませるから、感情的になってしまうと言っています。

「ここからが肝心なことなんだが、株式投資の資金を『カネ』と思った瞬間にまけるからな!それだけは、覚えておいてよ。」
「『500万円が消えた!大損した!』と思うと、何も出来なくなる。だから、『500点負けた』と思いなさいってことなんだ。『カネ』に置き換えない!」
これはある意味師匠の奥義です。

「株の資金は『カネ』じゃなくて『点数』と思え」

これが実践できるにはかなりの経験と適性がいると思いますが、こう言う心の状態を持つことが出来れば確かに「負けのリスク」に対してそれを回避できたり「負け」そのものに対して強靭に対応できるはずです。

投資においてもっとも難しいのは「自分自身の心(衝動)との戦い」を制して「平常心」を保ち続けることです。

「衝動」は欲望とその欲望のもたらす期待、そしてその期待の喪失感で出来ています。

多くの投資家の夢を打ち砕き、相場から撤退させるものの正体が、この「衝動」による判断力の翻弄です。



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