投資家の孤独 3つの知恵

孤独の要素

灘株太郎さんのブログ「株修羅の道」の中の「師匠の思い出」では序の部分で投資家の孤独について少し触れられています。

相場への取り組みは基本的に一人でやるものです。
もちろん大口の機関投資家などは、組織的なデータがあってそれで利益を生み出す一定のルーティーンがあって、複数の人間の知恵の集合で投資を行うと言うことなのかもしれませんが、投資判断と言う行為自体は個人責任によって行われています。

組織の一員ですら投資判断に伴う孤独感は相当なものでしょうから、一人で投資を行う個人投資家なら自己責任と言う意味での孤独感はその投資判断に大きく影響を与えるものでしょう。

外資系のディーリングルームにいたプロフェッショナルの友人は会社を辞めて個人でやるようになって、如何に手にすることのできる情報が少ないかと言う事を言っていましたが、手に入る情報自体も限られている個人投資家の孤立感は克服すべき重要事項と言えます。

個人投資家の孤独にはいくつかの要素を上げることが出来ます。

先ずは、個人投資家の環境には勝った時も負けた時もその価値や苦痛を真に分かち合える仲間がいないと言う点です。

また、先に述べたような自己責任を他に転嫁できないと言う孤独も大きな点です。

更に、金銭的な損益の絡んだ状況の中で簡単に成功している他人の方法であろうとも、単純にそれに自分の考えを合わせられない、あるいは自分のこだわりが簡単には擦れられないと言う点での孤立感もあります。

そしてそうした孤独や不安は普段はさほど意識していなくても、結果が伴わなくなってきたときに大きく頭をもたげてくるものです。

同じ主催者が配布した全く同じ手法で投資している仲間がいるとしても、仕掛け仕舞のタイミングやスリッページ、あるいは自分の判断の介入などによって結果は同じになるとは言えません。
特にそうしたボタンのかけ違いから自分だけが他の仲間に比べて負け幅が大きかったり、利益幅が小さかったりすると、そこにはその手法の主催者に対する疑心のようなものが生まれることもあります。

つまり、勝ちや利益が保証されてはいないと言うことが、もしかしたら最大の孤独感の要因かもしれません。

師弟の間の共感

本当に経験や実力のある師匠なら、伝授の場面で投資家の孤独を十分理解した上で導いてくるはずなので、決して自分の考えをむやみに押し付けるようなことはないと思います。

投資家として可能性のある人は強い主張と個性を持っているはずだからです。

投資家に孤独がつきものなら、より良い師弟間のコミュニケーションにはその孤独感の要素がコンセンサスが共有されている必要があります。

本人が納得していない押し付けは意味がないわけですから、優秀な師匠なら自分の経験に照らしてもまずそういう無意味なことはせず、弟子が自発的に気付くことを促すような方法を取るはずです。

また経験豊富な師匠なら、自分自身の習得の経緯からそうした術を心得ているものだと思います。

たまたま儲かれば、その時は弟子も言う事を聞くかもしれませんが、それが押し付けられた心から納得していないものなら、思い通りにならなくなった時に必ず疑問を感じ信頼は崩れます。

これが欲得で動く孤独な相場の世界の心理なのです。

師匠は弟子に対しては相性と信頼関係を大切にしながら弟子自身の心で納得させるしかないのです。

私が灘株太郎さんの師匠が本物であると感じたのは、そうした投資家心理の基本的なことを十分に理解し、経験したうえで灘氏に接している模様が氏の文章から十分に伝わってきたからです。

師匠は株太郎さんの孤独を自分なりに理解した上でそれに共感し、また自分の思いへの共感を株太郎さんに促すように接しています。

相場の予想は誰にもできない

先の項で紹介したワイルダーの「アダムセオリ―」の中でジム・スローマン発と思われる言葉で「相場の予想など誰にもできない」と言う大前提が語られています。

しかし、多くの人は一攫千金を夢見るあまり、この基本的な命題を場合によっては意図的に見落としています。

この一つの当たり前ともいえる真実に目を瞑ろうとしているのです。

また「相場は簡単に予想できる」などと主張している投資商材なども多々見かけますが、個人的には真実に目を瞑るような手法はなかなか信用できません。

灘株太郎さんの師匠は弟子入りを乞う氏に入門を許すのに際して「勝たせることは出来ないかもしれんが、負けなくすることは出来るよ。」とこの点を正確に語っています。

これはスローマンの主張する相場への取り組みと共通する考え方からの言葉なのではないかと想像しています。

師匠は次のように語ったと灘氏は言っています。

「師匠、どうして相場がわかるの?」
「わからないよ。わかったら苦労しない」
「でも、勝ってるよ」
「負けないようにやってるから」

この言葉に師匠の株太郎さんに対する接し方のすべてが語られているように思えます。
そこには株太郎氏の孤独への配慮や、その信頼を得るための師匠の自信も感じられます。

一部の大口の機関投資家は勝つための方法を確立しているのかもしれませんし、それは否定できないので、確実に勝てる方法と言うロマンが存在する可能性は認めますが、現実的な手法としては「負けないように組み立てる」と言う事が大前提であり、そのことの意味を理解するためには、明日の価格の騰落など誰にも分からないと言うことの本当の意味を理解する必要がありそれができなければ、相場で勝ち続けることは難しいと思います。

分からないものに対する対処法の誠実で正確な答えが「負けないようにやっている」と言う言葉に表れており、またそこには師匠の自信も感じられせます。

これは先の相場がわからないと言う株太郎さんの孤独に対する、心の持ち方と対処法の伝授です。
勝ちたいと言う心の焦りや抑えきれない衝動が孤独感や不安の正体であるので、その衝動を「負けないための地道な手段を講じる」と言う合理的な気持ちに置き換えるべきだと言っているわけです。



 サイトからのお知らせ。
・10/26日 最新のお知らせや重要なサイトの更新は現在特にありません。

・このサイトはグーグルクロム(Google Chrome PC版)に最適化しています。

広告



TOP