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寿命の限界 ヘイフリック限界

ヘイフリック限界、明確な寿命のない生物、ヘイフリック限界とテロメア、がん細胞の無限増殖とテロメラーゼ

ヘイフリック限界

ヘイフリック限界とは人間の細胞の分裂回数には限りがあるとする考え方です。これは1960年代にレオナルド・ヘイフリックが人間の細胞はある程度時間が経つと分裂が止まり、死んでしまうことを発見したことから名づけられた定義です。人間の細胞は約50個にわかれると、分裂が止まりそれには大体9ヶ月かかるとされています。また、分裂中の健康な細胞を冷蔵庫に入れると、分裂は遅くなったり止まったりしますが、また常温に戻してもそれまでの分裂回数の残りの回数に達するまで分裂を再開して限界に達します。これによってヘイフリックは、人間の細胞は死のプログラムを持っていると言う主張を行ったのです。人間の細胞ではこの50回程度の分裂が限界ですが、他の動物ではこの回数はまちまちながらその分裂には限界があるとヘイフリックに考えられていました。たとえばネズミの寿命は2・3年で、分裂は14・20回ですがガラパゴスゾウガメのヘイフリック限界は125回です。このことから動物の寿命と動物のヘイフリック限界には関連性があることが分かります。

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明確な寿命のない生物

ガラパゴスゾウガメは170年生きると言われ、ロブスターは140年以上生きられると言われていますが、発見されている最長寿のホンビノスガイは400歳以上と推計され、これがもし事実ならこの貝は関ヶ原の戦いか大阪冬の陣のころから生きていることになります。このようなヘイフリック限界に達するまでに大きなゆとりがある(長寿でしかも顕著な老化現象が認められない種)と考えられる生物の研究もアンチエイジングの研究として数々の成果を出しています。科学者たちは、これまでヘイフリック限界の原因を調べてきましたが、今ではその答えは染色体にあると考えられています。

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ヘイフリック限界とテロメア

人間の細胞はテロメアと言う染色体の末端を保護する部分が細胞分裂によって劣化したときに分裂を止めます。テロメアは染色体の分裂によってそのコピーが作られるたびに短くなってゆきます。ヘイフリック限界に達すると、テロメアは染色体をエラーから守れないほど短くなっているめ、細胞は分裂ができなくなると考えられています。単細胞生物では染色体はループ状になっていてリスクにさらされる末端自体が存在しないために、テロメアでそれを守る必要がなく、細胞分裂の回数にヘイフリック限界のような制限はないのですが、線状の染色体を持つ生物では、その末端がリスクにさらされるために、テロメアでその末端部分を守っておりテロメアの劣化で分裂回数が制限されます。単細胞生物にはないこの制限がなぜ必要かと言うと、多細胞の身体と言う細胞の協調によって維持される状態において、分裂回数の秩序が大切だからではないと考えられています。一個の細胞で活動する単細胞生物では分列の制御の必要が特にないのと同様に、一個の細胞を出発点として分裂を開始する生殖細胞にも体細胞になるまではこの制限はありません。生殖細胞では単細胞生物のようなループ構造ではなく、線状構造のままでテロメアの劣化が修復されますが、これを行うのがテロメラーゼと言う物質です。

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がん細胞の無限増殖とテロメラーゼ

ヒトではこの生殖細胞とは別にテロメアによるコントロールを免れることで無限増殖を行う細胞があります。それががん細胞です。がん細胞は自らテロメラーゼを作り出すことができるため、染色体を傷つけることなく無限に複製することができるのですが、このことでその増殖は制御を失って宿主ともいえる生成もとの肉体が生きていられなくなるまで増え続ける悪性と言う状態になっています。このように細胞が悪性化して無限増殖するリスクを避けるためにテロメアが存在しているいう説もあります。悪性化と言う事を考えれば、テロメラーゼを投与すれば人間の寿命が伸ばせると単純に発想することはできませんが、がん増殖の抑制と言う研究も進んでおりこれらが理論的な整合性に基づいて組み合わされれば、制御された条件のもとで必要なテロメアの伸長による寿命の制御と言う事も可能になる日がくると思われます。

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