流通貨幣が異なった大阪と江戸、テクニカル分析の草分けローソク足の本間宗久、明治時代の米会所、コメ相場の衰退と復興
当事、江戸では「金」が流通通貨だったのに対して、大坂では「銀」が流通していました。
江戸の「金」は「小判一両が四分」「一分が四朱」と四進法であったため、市場取引の取引通貨とするには不便でした。
このため、大阪では十進法の「銀」を重さによって分ける秤量貨幣(ひょうりょうかへい)を採用していました。
こうした金と銀との交換比率を定めて両替にあたったのが両替商です。
当時の交換比率は「金一両が銀60匁」でした。
大坂では市場の商いは「銀」で行い、通常の受け取りは「金」でした。
今でも領収書の金額に「金00円也」と書くのはこの名残といわれます。
このような金銀の両替商が現在の三井などの財閥グループの起源なのですが、それは単なる交換だけではなく、大阪と江戸で異なる主力通貨であった金と銀との間の為替差益をも商売にしていました。
「米問屋」は「ブローカー」にあたり、客から注文を受けると100石に付き2匁5分の口銭を貰って、現代の証券会社のような役割を果たしていました。
また、「太刀打屋」と言う人たちが寄り場で自分の売買を行ったり、問屋の売買を代行したりする「トレーダー」の業務を行っていました。
このような本格的な市場取引の立会場は「寄り場」と呼ばれて、堂島浜通りから渡辺橋までの一帯がその中心でした。
本間宗久チャート分析を勉強し始めると、まず最初に頻繁に見かけるのが、ローソク足ですが、これは実は日本式のテクニカル分析法で江戸時代より用いられていたものです。
このローソク足を用いたテクニカルトレードには現在でもつかわれている有名なものもあります。
つまりそれほど有効であるものが江戸時代から使われ続けているわけです。
定かではないようですが、ローソク足は、本間宗久が発案し、 大阪・堂島の米取引で使われたという伝説が広く知られています。
本間宗久は1724年出羽庄内(現在の山形県酒田市)の米屋「新潟屋」で生まれた相場師です。
江戸での相場の失敗や、実家の米屋での身内との確執をへて、本場大阪の米相場で。
「出羽の天狗」と称された伝説の相場師となります。
本間は有名な当事の相場師達と同様に高度なテクニカル分析を行っていたようで、ローソク足の他、有名な「酒田五法」も彼の発案とされます。
桑名(三重県桑名市)にも江戸時代(1786年-天明六年の創立)から米の相場が置かれていましたが、これは明治になり廃藩置県が行われたあとも続けられました。
明治二十六年(1893)3月に取引所税法が公布されると、県下各地に米穀取引所設立の動きが起こりました。
桑名・四日市・津・松坂・山田・ 伊賀上野の米穀取引所が明治二十六年~二十七年に開業し、三十四年の県統計書によれば、桑名は仲買人が22人、米穀売買石数1、197、570石 、売買代金13、866、212円と他の米穀取引所を凌駕していました。
明治二十六年(1893)12月 ㈱四日市米穀取引所が四日市新町に設立され、翌年1月に立合いを開始しました。
明治三十四年(1901)の県統計書で仲買人は19人、米穀売買石数863、640石、売買取引代金10、004、358円で、桑名米穀株式取引所に次ぐ実績でした。
明治三十六年12月に第1期営業満期となりますが、その後も継続の許可を得て営業を行いました。
桑名は昭和六年(1931)、ついで四日市は昭和七年にその歴史をとじました。
堂島米市場は幕末まで活況を呈しましたが、明治に入ると幕府秩序の消失に伴って米中心の江戸時代の経済の仕組みも、また吉宗以来の米基盤の金融システムも崩壊しました。
そのため経済の要としての意義を失ったコメ相場は急激に衰退してゆきます。
やがて明治政府は各地の相場会所を閉鎖し、明治2年(1869年)には堂島米会所も閉鎖されます。
しかし、そんな堂島の衰退を案じた有志(礒野小右衛門、武富辰吉ら)が米市場再興運動を興したことで明治4年(1871年)、堂島米会所はとりあえずの開設をみます。
そしてこの動きが原動力となりその後、明治9年(1876年)五代友厚らが中心となって保証有限会社・堂島米商会所が設立されます。
この堂島米会所を復興した五代は更に株式取引所条例の成立を受けて、自ら大阪証券取引所の前身である大阪株式取引所の発起人となり、その設立にも尽力しました。
薩摩出身の五代友厚は、明治という新時代においても大阪にさらなる発展をもたらすべく、数々の事業を興し、財界や文化・教育界に渡って諸制度の改革や組織の設立・再編を積極的に図ったとされ、近代商都大阪の繁栄の恩人と言われています。
五代友厚像北浜の大阪取引所のホールの前に立てられている銅像は五代のものです。
ちなみにこの五代友厚像は、2004年12月1日の大阪証券取引所の新ビル完成時に、除幕されたものですが、大阪市内にはこの他にも、中央区の大商、光世証券、大阪市立大学、(この市立大と)同じく大阪商業講習所の流れをくむ天王寺区の市立大阪ビジネスフロンティア高校の五ヶ所に五代の像が設置されていて、大阪の経済人がいかに五代に恩義を感じていたかが伺われます。
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