ワイルダーのテクニカル分析入門とアダムセオリ 指標集序説

ワイルダーのプロフィール

 J.W.ワイルダー (John Welles Wilder.Jr)

テクニカル分析による投資法の啓蒙者として活躍した米国の投資法インストラクター。
その手法は当時の米国の新聞・雑誌・放送などで紹介され、フォーブス誌にも取り上げられたと言われます。
数あるトレーディング・システムの中でもワイルダーの開発したものは世界中でもっとも多く使われている(転用・改編・改作なども含む)と言う説もあります。

機械工学を学び不動産業で成功した後、先物市場へ参入。
1974年にトレンド・リサーチ社を設立。
1985年、デルタ・ソサエティ・インターナショナル社を設立し、世界各国でテクニカル・トレーディング・セミナーを開催、テクニカル投資に関する書籍・ソフトウェアなどの制作・販売を行い、インジケータなどを発表。

ワイルダーの書籍①【テクニカル分析入門】

ワイルダーが自ら記した著作は2冊あると言われていますが、そのうちの一つである New Concepts In Technical Trading Systems(邦題 ワイルダーのテクニカル分析入門) は見方によっては米国式の直観的テクニカル分析のバイブルとも言えるような書籍です。

この本で紹介されている手法は当事としてはかなり新鮮なものであったでしょうし、それらはその後も広く使われており、とりわけ「RSI」は今でもかなり根強い人気を持っています。

ただ残念ながらこの本は、PC登場よりずっと以前に書かれたものなので、解説ツールとして手描きの方眼紙が用いられており、これはエクセルなどの作表ソフトに慣れた世代の人々にとっては(前時代的な直訳調の翻訳の未熟さともあいまって)感覚的にかなりわかりにくいものです。

但し、今ではこの本で紹介されている指標はこの本以上の詳しさでネットで広く紹介されており、ロジックや考え方もネットユーザーにはなじみ深い計算式やチャートを伴ったスタイルで容易に検索・参照することが出来ます。

ネットでこの本の内容を検索するために、この本のインデクスを紹介しておきます。

 New Concepts In Technical Trading Systems、8つの手法。

  1. The Parabolic Time (Price system)
  2. The Volatility System
  3. The Directional Movement Index(DMI)
  4. The Trend Balance Point System(Momentum Concept)
  5. The Relative Strength Index(RSI)
  6. The Reaction Trend System(Pivot)
  7. The Swing Index
  8. The Commodity Selection Index(CSI)

「8. CSI」 は当時の米国の商品先物市場を対象とした銘柄選びの手法であるため、当サイトでは取り上げていません。
以上の八項に加えてBASIC(チャートの基本)とCapital Management(資金管理)の二項が序文・後書きとして簡単に記されています。


このサイトでもインデクスにある各インジケータはそれぞれ独立したページにして、参考エクセルファイル付で紹介しています。

ワイルダーの書籍②【アダムセオリ】

ワイルダーの二冊の著作のうちの残る一冊はAdam Theory Of Markets(邦題 ワイルダーのアダムセオリー)です。

たった二冊目ながらこの本の内容はワイルダーが主催したセミナーなどの勧誘文のようなものまで含めていろいろな記事断片の寄せ集めと言った印象になっています。

 アダムセオリ

本の主題「アダムセオリ」については、文中の紹介ではワイルダーが友人の投資家であるジム・スローマンから100万ドルで買ったと言う手法で、ワイルダーはこの手法で後に巨額の利益を得たとされるものですが、具体的なことは紹介されておらず、教訓めいたたとえ話と使い古されたトレンド論のさわりが語らています。

つまり読者がワイルダーに期待するテクニカル分析には触れられておらず、スローマンから仕込んだ内容の焼き直しなどがほぼとりとめもなく述べられています。

アダムセオリは一言で言えば、「価格の予測などはあてにもならず危険である、投資において重要なのは目の前の相場の動きを素直に捉える見方だ」と言うものです。

「上がれば買い、下がれば売る。」
「間違ったら切る」
「さらに上がれば更に買い、さらに下がれば更に売る。」

ジムスローマンのこの手法が100万ドルで買ったアダムセオリであるとワイルダーは主張しています。


 デルタ理論

このネタだけで高価な本を販売するのにはさすがに気が引けたのかも知れませんが、アダムセオリと矛盾するような手法が唐突に登場したりします。

なぜかこのアダムセオリのサブタイトルになってている「未来の値動きがわかる再帰理論」と言う部分は実はアダムセオリとは別の「デルタ理論」と言うものです。

ワイルダーの知名度を考えればこの「未来の値動きがわかる再帰理論」と言うフレーズには誰しも期待しますが、その内容は「現在値位置から数本前までのラインチャートをそのまま上下左右反転したフォルムにしてチャートの現在値部分の後ろ(右側/未来側)に単純に貼り付ければ未来の相場が描ける」と言うもので、それ以上の説明はありません。

未来の価格のチャート



もしもこの本が問いかけている何かがあるとすれば、ワイルダーのように有名なテクニカル指標作成者が、このテクニカル分析とは異なる(ワイルダーのスタイルとも思えない)手法を、100万ドル(現在のドル円価値なら400万ドル以上?)の値打ちのあるものだ…と主張している点を「読者それぞれがどう受け止めるのか」と言うことなのでしょう。

私は「100万ドルで購入し、それで大儲けしたとでもしておかないと、とてもデルタソサエティの会員にその価値を訴えられななかった」と受け止めています。
この時期のワイルダーはネタ切れに苦慮する多くのセミナー主催者とかぶるものがあります。

余談ですが、最近名称を「アダムセオリー」とする「売買ロジック」があるそうですが、ワイルダーの提唱する「アダムセオリ」はあくまでも相場に取り組むジム・スローマンの手法のさわりを説いたものです。
また、付録の「デルタ理論」はその評価に苦慮するものです。

  後 記

アダムセオリによって指標作成者としてのワイルダーの価値そのものが下がるとは思えません。

工学を修めたエンジニアらしいテクニカル指標の「からくり」の面白さはやはり秀逸であり、「ワイルダーのテクニカル分析」で発表された指標集は今でも個人的には(指標自作の際の参考材料として)最も示唆に富んだものです。

「テクニカル分析入門」では「ワイルダーのからくり」の醍醐味に触れることが出来ますし、「アダムセオリ」では「ワイルダーの人間臭さ」に触れることが出来たと言ったところでしょうか。



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