本間宗久 酒田戦術 理解のための基本五要

本間宗久とは

本間 宗久(ほんま そうきゅう:享保九年=1724年 ~ 享和三年=1803年)は数々の相場格言で知られる江戸時代の天才的な相場師です。

本間宗久は江戸時代中期以降に栄えた出羽国の庄内藩・酒田の豪農・豪商、本間家に出自を持つ伝説の相場師です。
酒田の本間といえば「本間様には及びもせぬが、せめて成りたや殿様(大名)に」と唄に歌われたほどのケタ違いの豪農だったと言われます。
宗久は最初、大坂堂島のコメ相場で活躍し、後に江戸でも多くの伝説的なトレードを行い、また数々の実践的なトレード手法を編み出したとされます。

今日でも彼が残した実践的な格言や、チャート分析法は日本国内のみならず、海外も含めて多くのトレーダーに影響を与えています。

世界最古の体系的テクニカル分析

本間宗久はローソク足を使った相場分析法の創案者であり、ローソク足と言う日本独自のチャート形状も本間宗久の発案であると言われています。
(異説はあります)

ローソク足は日本独特のテクニカル分析法で、世界的にも歴史の長い体系的なテクニカル分析法とも言えるものですが、特筆すべきは長い歴史を持ちながら、その手法が現代においても多くのプロのアナリストやトレーダーに普通に使われ続けていると言う点です。

江戸時代から使われていたと言う説には疑問があるものの、少なくとも大正時代には体系的に使われていたことは多くの証拠があり、その後の歴史とともに更に改良や新解釈も生み出されていると言うその事実が、このローソク足の普遍的な価値を物語っていると言えます。

⇒ローソク足形一覧

相場三昧伝

宗久の相場の秘伝書の原本とされる「荘内本間宗久翁遺書略伝」の中に「酒田戦術起源」として、「翁(宗久翁)は、常時相場に関する覚書を巨細に記録参考とせしが、晩年酒田戦術として一本にまとめ、座右に供え相場に対照して完全に期せり」とあるそうです。

宗久は相場における心構えや戦略を日々のトレードに備えて体系的にまとめ、それを詳細に記録しています。
江戸時代日本では当時のヨーロッパに匹敵するような本格的な博物学や数学のブームがあったとされますが、大坂の相場史が非時系列の鉤足を用いて相場事象を詳細に記録・体系化して投資法を研究できたのはそうした文化的背景があったためかも知れません。

宗久は相場の要因として「風」「幡」「心」の三つを上げています。
その上で真に相場を動かすのは風(ファンダメンタルズ)でも幡(景気状態)でもなく、心(センチメントや個々人のメンタル)であるとし、「心」こそが最も重要で、人間の思惑や欲望が幾重にも折り重なって反映された市場心理(人気)と言うものを見据えたトレードが大事だと説きました。

この「心」が重要と言う考えはローソク足の相場解析にも一貫して貫かれていますが、この心の在り方の大切さを具体的な格言としてまとめたものが「相場三昧伝」です。
米相場で生まれて、現在もなお多くのトレーダーに影響を与えている重要な戦略・格言の多くはこの宗久の「相場三昧伝」にルーツを持つものです。

⇒相場の格言集

酒田五法

「酒田五法」は本間宗久の「相場三昧伝」の解釈から明治時代以降に生まれたと考えられる「酒田罫線」と呼ばれるローソク足によるパターン分析法で、「五法」とは「三山(さんざん)」「三川(さんせん)」「三空(さんくう)」「三兵(さんぺい)」「三法(さんぽう)」と呼ばれる五種の特徴的なパターンを示した相場の見立て法です。

⇒酒田五法足形一覧


 三山

三山は大天井相場や大底相場の終焉・転換の予兆とされるローソク足チャートのパターンです。
「三山(さんざん)とは大天井の体型をあらわす線にして、底値より波乱をくり返しながら順次上昇し、高値より下押し、さらに前の高値付近まで上進し、また、下押して上進する。三度同じ運動をくり返すという体型にして、大天井となるものなれば、断固売り放つをよしとす」とされています。
天井や底に三つ並んだピークやボトムが現れた状態を言います。
三山は三尊とも言い、主尊である阿弥陀像の両脇に二体の脇侍像が並んだ三仏になぞらえたもので、真ん中の阿弥陀に当たる部分が一際高い形をしています。
また、これが底値圏で天地反転して現れるものを逆三尊と言います。


 三川

三川の「川」は線に通じ「三本足」が川の字のように並んだ形で、特に三本の真ん中の足が短い上放れ線や下放れ線になった極めて特徴的・象徴的なものを言います。
この形が出ると相場が限界に達してトレンドが転換する予兆とされます。


 三空

三空は「空」で表わされるいわゆる「マド」が三つ並んだ状態で予兆が示される相場の転換のパターンです。
三回も連続して中間の価格帯を飛ばした値動きが認められると上昇にしても下降にしても相場の動きの勢いが非常に強いとみなせます。
この窓が何日も埋まらない場合には、新しいトレンドの始まりとして重要なポイントと判断できる可能性が大きくなります。


 三兵

三兵の「兵」は将棋の駒のことで、陽線もしくは陰線の同相のローソク線が一定の方向感を持って三つ並んだ状態を言い、一定期間トレンドが継続する予兆と見ます。
赤三兵の出現はしっかりした攻め手の駒の足取りとして相場が確実に上昇している状態、黒三兵の出現は同様に守り手である逆方向に確実に駒が足取りを見せたもので相場の下降が確定的な状態と捉えます。


 三法

三法の「法」とは相場に取り組む三種の手法のことで「売」と「買」および「休」を言います。
「休」は持ち合い相場・ボックス相場と言った手を出してもあまり意味のない相場での手法ともされ、相場が方向感を見せるまでは待つと言うものです。
相場の一服が見えたら、その後、トレンドの反転あるいは再継続と言う「売」と「買」だけでなく停滞の延長と言う「休」もありうると言う見方です。
一説では三法とは第一手法「買」第二手法「売」第三手法「休」の第三手法のことだとされています。
三法形になる直前の大きな値動きの範疇に収まっている場合は、相場は休止しているとする見方です。
ここは手を出しても意味のない相場で、もみ合ううちにポテンシャルが満ちてくると思わぬ方向に大きく動くことがあり、方向感を確認するまでトレードは「休」と言う事になります。

  ポイント

本間宗久のチャート分析手法は現在の多くのテクニカル分析手法にくらべても、かなり優位性、信頼性の高いものです。

欧米人は普遍的な原理やメカニズムのロジックを知りたいと言うものが底流にありますが、ローソクのそれは、その真理を知りたいと言う部分の質が欧米風のものとは異なっており、それは事実として観察できる範囲でしか人間には扱えないものだと言う日本的な自然観が基本にあります。
この姿勢が最近の欧米風のテクニカル分析手法に比べても今なお優れた結果を出している要因とも言えます。

本間宗久は相場は頭で理解できる見立てだけでは勝てないとしていますが、日々のローソクを書込むことでそれを体で覚えるという地道な作業は、市場心理の動きに自分自身の潜在意識を向けて相場観あるいは洞察力を磨くひとつの道です。



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