相場ストラテジー、投資術基礎知識「エグジット ルール」。
つい目の前の値動きにつられて無駄な行動をとりがちな仕掛け・仕舞いに統計的に優位なルールを使った投資術。
システムトレードでは利食い(プロフィットテイク)と損切り(ロスカット)のルールをあらかじめ決めておいて、それに従ったトレードを行うことで、慌ててエントリーやエグジットをしたり、逆に目先の利益にこだわって迷った挙句にタイミングを逸する…と言ったリスクを避けようとします。
とは言っても、こうしたものの有効なルールを決めるのはなかなか難問です。
エグジットルールではバンド系指標で価格が(上下二本の)バンドの外にハミ出たら、反対側のバンドに向けて(内向き)のエントリーを行いバンド描画の基準になる移動平均値もしくは反対側のバンドに達したらエグジットと言うものです。
例えば上側のバンドを現在価格が上抜けたら、それをイレギュラーな値ととらえて、レギュラーな価格帯、つまり二本のバンドの内向きである「売りエントリー」をします。
逆に下側のバンドを現在価格が下に抜ければ、「買いエントリー」を行います。
これは、バンドのイレギュラー判定に一定の信頼性がある場合には、考え方としてはある程度理にかなっているのですが、バンド自体の信頼性などに照らすとかなりの改造や工夫が必要な方法です。
また、この方法のもう一つの大きな問題は、この種のロジックはエントリーとエグジットの二つからのみなっているケースが多く、エグジットに利食いと損切りと言う二種類の異なる要素を明確に考慮していない点です。
バンドの外でエントリーして、所定の位置に達したら(利食いであろうと損切りであろうと)エグジットすると言うかなり大雑把なロジックが基本です。
実際には損切りを明確に行う必要があるのですが、多くの場合、利益にならないケースでは損失に達するまでかなりの長期間ポジションを持ち続けるリスクが存在します。
あらかじめ許容できる損失額を決めておくことをストップロスと言います。
これは相場が自分の思っていたのと逆方向へ向かった時に、損失を一定範囲以内にとどめようとするために行われる方法です。
ストップロスは「投資の安全弁」とも言われ、「損失を想定しそれを売買ルール織り込む」と言う考え方は投資行動のリスク管理上かなり重要なものです。
トレードでは100%はおろか90%、80%、70%の勝率で利益を上げる事も実際にはなかなか困難です。
つまりトレードに参加する限り必ず損失と言うものは避けることができず、投資資金の管理と言う意味では損失額のコントロールは当然必要です。
迂闊なトレードや、目先の利益、あてのない損失奪回などの幻想にとらわれすぎると、1回のトレードで立ち直れない程の損失を被ることにもなりかねません。
そうした不用意なリスクを避けるためにもストップロスの考え方はとても重要な投資戦略と言えます。
ストップロスを明確化した方法では、エントリーした時点で利食いと損切りの幅もしくは条件を決めておきます。
例えば17000円で買いエントリーした時点で、17080円に達したら利食い、16950円を下回ったら損切りと言う見立てをしておくと言う方法です。
あるいは価格設定によらず、何らかの相場の条件、例えば先のバンド系指標の例のようなテクニカルなポイントでエントリーとエグジットのポイントを決めることも出来ます。
損切り条件を価格で設定しておくやり方なら証券会社の注文条件によっては指値や逆指値でのエグジットを用いて、エントリー時にワンセットでエグジットの注文まで出しておくことができます。
ただ、この方法の難しいところはどう言う基準で利食い損切りの値幅を設定するのかと言う部分です。
利食い損切りを価格や、価格差で決めるための代表的な方法は、過去3~5日間の値幅(高値と安値の差)平均などを元にこの平均値幅の70%利益側に値動きがあれば利食い、平均値幅の60%見立と反対側に動いたら損切りと言うような方法です。
この方法の問題点はその平均値幅に対する比率の設定の難しさです。
一定期間のボラティリティの水準を基準にしていると言っても、この方法には利食い損切りのスイッチとしての根拠自体はあまりあるとは言えないために、この方法では比率の設定は固定した値は求められず、その時々の相場に併せてパラメータとして比率を変化させながら時期ごとの検証上有利な比率を頻繁に探りつつトレードすると言うスタイルが一般的です。
また、実際にやってみるとわかりますが、この方法では損切りを小さく設定しすぎると軒並み損切りにかかってしまうと言う傾向があります。
人情として利益は大きく損失はできるだけ小さくと考えてしまうものなので、「損失は利益の半分に設定する」などどあまり根拠もなく安易な思いこみだけで損失幅を小さく設定してしまうと、すぐにアルゴリズム取引の餌食となってしまいます。
「アルゴリズム取引」が入ってくると大きく下げた後、しばらくすると何事もなかったように価格が元の水準に戻ると言ったことが起こります。
研究の末、かなり過去の検証上有効そうな損切り比率を見いだしたとしても、実はこうした急変動のリスクを極力排除して初めて、その損切りロジックが機能すると言うようなものです。
単純に値幅などからの価格設定を行うだけでなく、それプラス複合的な条件設定を行うことが必要です。
簡単に損切りにかかるリスクを避ける方法としては、例えばアルゴリズム取引を例にとると、現実にはアルゴリズム取引の起こりそうな時間帯とか、重要経済イベント発表前後などのトレードをできるだけ回避するようなロジックの実装が必要であると思われます。
値幅などのボラティリティを根拠にする価格によるエグジット設定の他に、テクニカルポイントを用いるストップロスがあります。
これは移動平均などのトレンド判定ロジックを利用するもので、用いるテクニカル指標がトレンドの転換を示した場合にはそのタイミングを…、あるいはその指標からトレンド転換の条件価格を想定できる場合には、あらかじめ想定したその価格をロスカットポイントとしてストップロスに使うことが出来ます。
価格が上がるか下がるかを予想するエントリーのロジックを見つけることももちろん大事ですが、エントリーにおいてはより良いポジションを掴むことも大事です。
この相場は上昇すると判断して17800円で買いエントリーしようとするものが、その時の相場によっては17780円でエントリーできるかもしれません。
実際にこうしたポジショニングができれば、極端な話では見立が反対方向であってもポジショニングのおかげで損失が限定できた、あるいは場合によっては利益を掴んでエグジットできた、などと言うことも起こりえます。
少しでも有利なポジショニングが出来るようなロジックを見つけることはベクトル(価格が上がるか下がるか)のロジック研究と以上にエグジットを容易に行うためにも非常に重要なことです。
トレーリングストップは値動きに合わせて設定した返済価格が自動的に一方向に切り上がる、もしくは切り下がる注文方法です。
例えば買いでこの注文を行うと、値動きとともに返済設定値が(上方向にだけに)切り上がってゆくので、価格上昇のたびに含み損が減少し、この切り上がる返済値がエントリーした価格を上回ったところから、今度は利食い注文として自動的に切り上がるものとして機能します。
証券会社(一部の証券会社)によっては、逆指値注文(ストップ注文)に値幅指定機能を付けた注文方法などでこのトレーリングストップ注文に対応しています。
しかし、こうした方法によってトレンドが定まらないうちのランダムな動きによってストップロスの値が切り替わることで、ボラティリティが増した途端に損切りにかかってしまうような相場もあるために、オリジナルの自動売買ロジックなどでは、少しでも利益水準に達するまでトレーリングストップが発動しないような方法も見受けられます。
システムトレードのロスカットは人間の心理からその幅が小さく取ろうとしてしまうことが難点で、先に述べたようにもっとも問題と思われるのはこの幅の小ささゆえに頻繁にロスカットにかかってしまうリスクがあることです。
この点は一定の見識を持った裁量トレードでは、大抵普通のシステムトレードで設定するロスカットの倍以上、場合によっては三倍ほどの値幅でロスカットのタイミングを待つと言うケースを結構見かけるためにポジションを市場に無駄に食われると言う回数はかなり減りますが今度はかかった時の損失は大きなものになります。
値幅を広げたロスカットではその見立の許容幅が大きい分、一回のロスが大きくなると言う(コントロールすべき)リスクも増えるわけです。
ロジックにイベントカレンダーなどを組み込んでアルゴリズムトレードの対象となる可能性の高い時間帯や指標発表時などのタイミングを避け要とする方法は、裁量でリスクを回避することの利点を自動売買などにいくらかでも応用するための一つの方法です。
日経平均 | 32307.86(-550.45) |
TOPIX | 2324.47(-35.44) |
JASDAQ | 164.28(-0.47) |
ダウ平均 | 36247.87(+130.49) |
S&P500 | 4604.37(+18.78) |
NASDAQ | 14403.97(+63.97) |
ドル/円 | 144.642(+0.172) |
FTSE100 | 7554.47(+40.75) |
ハンセン | 16334.37(-11.52) |
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