オプション取引の合成ポジション 理解のための基本八要

買方のストラドルとストラングル

225オプションの買方は利益は限定なしで損失は一定額で放棄できるわけですが、それなら価格の上昇方向にも下降方向にもポジションを持てば、利益になる側はどんどんその利益を反映してゆき、一方の損失側は一定額で固定されるため、相場が上がっても下がっても有利に動くポジションが合成できると言う考えが浮かびます。
それが買方のストラドルと買方のストラングルと言う戦略です。

ストラドルは両足を広げると言う意味で二股をかけると言ったニュアンスの言葉です。
ストラングルは抑え込むと言う意味でストラドルにかかる二重のプレミアムの費用を出来るだけ抑制する戦略です。


 ロングストラドル

買いのストラドルは「ロングストラドル」と呼ばれます。
同じ限月、同じ権利行使価格、コールオプションとプットオプション、つまり全く正反対のベクトルをターゲットにした商品を同時に買方でポジショニングする戦略です。

たとえば当月限月の権利行使価格が10000円のコールオプションとプットオプションを現在の日経平均株価に近いものを選んで同時に買います。
この戦略では日経平均が上下どちらかに大きく動けば利益が得られます。

最大損失はコールとプットの二重のプレミアムの範囲に限定されますが、利益を生む側の値動きがこの二重に支払ったプレミアムを相殺する以上の動きをみせて利益を生む必要があります。
このため仕掛けはプレミアムのできるだけ安いボラティリティが低い(相場に変動が少ない)状態でおこない、狙いはその後ボラティリティが高くなる(相場が大きく変動しそうな)局面となります。


 ロングストラングル

買方のストラングルであるロングストラングルも同じ限月のオプションでコールとプットを両建てする戦略ですが、ロングストラドルが同じ権利行使価格を買うのに対して、ロングストラングルではプレミアムを低く抑えるために権利行使価格を同一のものではなく、乖離した状態でポジショニングします。

仕掛けのタイミングや狙いの相場展開はロングストラドルと同じです。
プレミアムにかかるは費用は現在値から遠ざかるほど安くなりますが、その分権利を行使できないエリアが広がるため利益を生むための戦略の成功率は低くなります。

売方のストラドルとストラングル

売方にもコールとプットを両建てする戦略があります。
利益限定、損失無限大のオプションを価格の上昇と下降でポジショニングするわけですからどっちに転んでも危険そうな戦略ですが、ボラティリティの低いときにプレミアムを稼ぐと言うのが原則になります。

このため売り持ちの二つのポジションは時間価値の減衰が進みそうな場面で持つことになります。
時間価値の減衰でプレミアムが下がれば買戻し(買方)ます。
高く売って安く買うことでプレミアムの差額を稼ぐ戦略です。


 ショートストラドル

ショートストラドルは同じ限月の同じ権利行使価格をコールオプションとプットオプションの現在値に近いものを同時に売る戦略です。
仕掛けるタイミングは日経平均株価のボラティリティが高いが実際の価格が安定に入ったと思われるタイミングを狙います。
このタイミングが時間価値の減衰の進みやすい場面です。
アット・ザ・マネーに近いものを同時に売るため得られるプレミアムは大きいのですが日経平均株価が大きく変動するとどちらに動いても損失がたちまち膨らむため注意が必要です。


 ショートストラングル

ショートストラングルも狙いはショートストラドルと同じですが、ショートストラングルでは同じ限月の違う権利行使価格のコールとプットを同時に両建てします。
ショートストラドルにくらべて得られるプレミアムは少ないのですが、プレミアムがすべて利益となる可能性(転売せずに限月まで持ち越せる)が高くなります。
ショートストラングルと同じく売方のみの両建て戦略ですので相場が変動すると、大きな損失となります。

クレジットスプレッド

買方の損失をプレミアムと言う定額保険料でとことん保証すると言う立場の売方なのですが…、
保険会社が自身も保険に入っているように売方がこの限度のない損失を限定するために、それを保証される側である「買方」としてのポジションを同時に持つと言う戦略です。

クレジットは簿記で言う「借方」のことですが、クレジットスプレッドとは現在値に近い権利行使価格のオプションを売り、現在値より遠い権利行使価格のオプションを買う戦略です。
コールの売方が行うクレジットスプレッドをクレジット・コール・スプレッドといい、プットの売方が行うクレジットスプレッドをクレジット・プット・スプレッドといいます。

現在の日経平均株価が10000円のときに権利行使価格10250円のコールオプションをプレミアム200円で売り10500円のコールオプションをプレミアム120円で買った場合で考えてみます。
清算日まで日経平均株価が売方の行使価格10250円を上回らない限り200円-120円のプレミアムの差額80円が利益として確定しますが、日経平均株価が10250円を超えてくると80円の利益が目減りする局面に入ります。

この状態では、日経平均株価が10250円を超えてプレミアムの価格80円をその10250円に加えた10330円に達するまでは80円の利益が目減りしてゆきます。 このエリアはまだいくらかでも利益はある状態、もしくは損失がまだ出てない状態ですが、更に日経平均株価が10330円を超えてくると損失が発生しそれが膨らんできます。

しかし日経平均が10500円以上になってくると、権利行使価格10500円で買方のポジションを取ったコールオプションがその利益で損失を相殺してゆくので、損失額は10500円-10330円の170円で固定されます。
このようにしてクレジットスプレッドでは本来無限である売り方の損失を一定範囲内に限定することができます。

デビットスプレッド

目的はかなり違いますが、クレジットスプレッドとポジショニングの良く似たものにデビットスプレッドがあります。
デビットとは簿記の「貸方」のことですが、こちらはクレジットスプレッドとは逆に売方の権利行使価格を現在値より遠く取り買方の権利行使価格をより近い側にとります。

買方のコールのものをデビット・コール・スプレッド、買方がプットポジションのものをデビット・プット・スプレッドと呼びます。
このポジションの目的はプレミアムの軽減にあります。

例えば現在値が10000円の時に日経平均株価の上昇を想定して10250円のコールオプションを180円のプレミアムで買い、それと同時に10500円のコールオプションを100円のプレミアムで売ったとします。
清算日に日経平均株価が予想に反して10250円に達していない場合にはプレミアム80円が損失になりますが、売りのポジションを持たなかったときのプレミアム料である180円に比べれば損失は100円軽減しています。

では日経平均株価が買方の権利行使価格の10250円をこえてきて、更にプレミアム料の相殺額もこえて利益を生む場面を見てみます。
この場合、80円のプレミアムを相殺する10330円をこえれば利益を生むことになりますが、両建てせずに180円のプレミアムを支払っていた場合には日経平均株価が10430円を超えてくるまで利益は発生しません。

安いプレミアムのおかげで売方ポジションのある10500円までは有利に展開することになります。
しかしデビット・コール・スプレッドは単純なコールオプションの買方とは違い売方のポジションがある10500円に達するとそれに相殺されてそれ以上の利益は発生しません。

つまり値動きの大きさが限定されていると予想した場合に用いることができる戦略で、その見立てが当たっていれば一定の価格エリアではプレミアムを有利に使うことができます。

レシオスプレッド

レシオは倍率(比率)を意味しますが、レシオスプレッドはデビットスプレッドの売方のポジションを買方ポジションの数倍のボリュームで持つ戦略です。

日経平均が10000円のときに権利行使価格が10250円のコールを180円のプレミアムで買い10500円のプットを100円のプレミアムで二枚売ったケースではプレミアム自体が当初は20円の利益になっています。
日経平均株価が10250円に達するまではプレミアム料の20円の利益ですが、さらに価格が動いてコールの権利行使価格10250円をこえてくると20円を超えて利益が発生します。

しかしデビットスプレッド同様に10500円をこえてくると売方の相殺がはじまりますが、こちらは売方の枚数が買方の倍なので相殺されても売り一枚分の損失が加算されてゆきます。
つまりその損失はコールオプションを1枚売っているのと同じ計算になります。

但し日経平均株価が10500円のときの最大利益は270円なので10770円(10500+270)に達するまでは利益が目減りするだけで損失は発生しません。

売方がプレミアム以上の利益を得るための戦略となる組み合わせです。

カレンダースプレッド

カレンダースプレッドとは期近の限月の権利行使価格のオプションを売り期先の同じ権利行使価格オプションを買う戦略です。
先物などでも限月のことなる同一商品を売り買い両建てするものをカレンダースプレッドと言います。

オプションには時間価値の減衰と言うものがあるため残存日数が一週間をきるあたりから急激に減少してゆきます。
この時間価値の急激な減衰を利用して利益を得ようとする戦略がカレンダースプレッドです。

例えば当月の権利行使価格が10000円のコールオプションをプレミアム100円で売り、翌月の権利行使価格が10000円のコールオプションを250円で買った場合、プレミアムは150円のマイナスになっていますが、残存日数が一週間ぐらだとすると普通は100円で売ったプレミアムのほうが減衰率が高のでその差額を利用して利益をだそうという戦略です。

シンセティックポジション

シンセティックと言う言葉には模造と言った意味合いがありますが、シンセティックポジションとは同限月の同じ権利行使価格の売方と買方で組み合わせたポジションで225先物のトレードと同じような状態を模造するものです。
ほとんど225先物と損益カーブが同じように動くため225先物のトレードと同じようになります。
日経平均株価が上がると予想した場合にはコールの買いとプットの売りを組み合わせたブルシンセティックポジション、逆に下がると予想した場合にはコールの売りとプットの買いを組み合わせたベアシンセティックポジションを合成します。

日経平均株価が10000円のときに、権利行使価格10500円のコールをプレミアム80円で買い、同時に権利行使価格9500円のプットをプレミアム120円で売る場合で見ると、損失が発生するのは日経平均株価が9500円をプレミアムの利益分の40円下回った価格つまり9460円以下になります。

9500円まではプレミアムの差額である40円が利益になります。
10500円を超えてくると買方の差益に40円のプレミアムを加えた金額が利益になります。
つまり9500円から10500円までの40円の利益が固定した状態が225先物のトレードより有利と考える場合の戦略と言うことになります。

  ポイント

どんなにうまく組み合わせを合成しても、都合の良いだけのポジションは作れない仕組みになっています。
メリットとデメリットが必ず併存しています。

オプションでは高い勝率と比較的安定した利益に上手くアジャストした戦略を作れる可能性があります。
しかしそう言うものはたいてい思わぬ方向に大きな変動が起こった時には大打撃を喰らうと言う構造のものがほとんどです。

合成戦略を建てる場合、リスクと使いやすさのそれぞれの構造が理解できているか…に考慮して組み立て運用する必要があります。



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