NTペアトレードの終焉 理解のための基本四要

リーマンショック後のNT倍率の相関性

2000年以前のNT倍率は現在と同じように12倍を挟んで11倍から13倍台の動きでした。
それが2000年4月の日経平均大量銘柄入れ替えによる指標としての実態反映のための調整以降はリーマンショック後の2009年2月くらいまでは10倍を挟んだ動きを見せていて、9倍台と10倍台の間でレンジの狭い動きを続けることで疑似裁定的なトレードが期待できるものとなっていました。

日経平均 - (TOPIX×10)で算出するスプレッドで言えば、0を挟んでプラス圏の時期が多いが、マイナスに触れる時期もあると言った動きでした。

ところがNT倍率はリーマンショック後の2009年2月以降急騰に転じ9月に11倍を付けて一旦急騰は治まったものの、その後は2000年以前の12倍を挟んだ動きの再来のような水準となったまま徐々に上昇を続けて2013年の年末頃には2000年4月につけた12.36倍を上回り、更に2018年には13倍台で高止まりを見せています。

つまりリーマンショック後のNT倍率はチャートで観る限り2008年10月につけた9.49倍を底値に上昇を続けています。
これはNT間の相関性に既に問題が出ている、あるいは相関性自体が意味を失っている可能性を示唆しています。

新産業革命の勝ち組と負け組

アメリカを中心に主要国では現在新産業革命が進行中です。
その担い手はFANGと呼ばれるコングロマリット(複合企業)の企業群で、その名の由来となったFacebook(フェイスブック)、Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)、Netflix(ネットフリックス)、Google(グーグル)の他、アップルなどの巨大ITコングロマリットがFANG(革命の牙)と呼ばれる陣営に名を連ねています。

コンピュータ技術や人工知能技術を中心とした新産業革命は2015年に話題となったFANG以降も更に多様に進化しており、その結果として今後勝ち組と負け組の企業の明暗がよりはっきりしてくると予想されています。

勝ち組はニューヨークの株価を押し上げ、負け組はおいてけぼりと言う二極化が現在進行していると言うことです。

エコノミストの武者陵司氏はこの二極化が日本においても進行しており、その結果がNT倍率の上昇、つまりNT乖離の原因であるとしています。

ビジネスモデルを柔軟に変化させて、新しい経済の構造に対応できている企業は勝ち組であるか、あるいは勝ち組の有資格者といえますが、旧態をなかなか変えられない企業や、新しいビジネスモデルに脱皮できない企業は既に淘汰されてゆく運命にあると言う考えです。

銀行経営などはその典型とも言われ、電子化・IT化によって大きくその業態が変化するポテンシャルを秘めているにもかかわらず、メガバンクなどは対応できていないと言う指摘です。

例えば、マスコミとインターネットの情報の乖離が最近よく言われていますが、インターネットは大手のマスコミが既得権益として世論をリードする現状の問題性を暴きつつドナルド・トランプ氏などの(既にそうした視点を明確にした)情報発信スタイルの啓蒙によって新聞テレビなどのメディアが近い将来負け組となる可能性もささやかれています。

今ビジネススタイルからライフスタイルまでのあらゆる要素が日々大きな変革を重ねています。

勝ち組の指標と負け組の指標

TOPIXは銀行、エネルギー、電力、公共公益などの時価総額の大きな内需系の銘柄が主に反映される指標です。

こうした銘柄は新産業革命に対応した新たなビジネスモデルの構築に乗り遅れている企業群とも言えます。

ITによるグローバル化は多様なビジネスの一元的な収益モデルを推し進めていますが、銀行業などの既得権益性の高い業種ほど(この既得権の垣根を取り払うことで初めてもたらされる)新たな収益モデルの構築に乗り遅れています。

このことはこうした企業群の属するTOPIX大型株の指標とその他の規模別の株価推移を比較して見れば明確に浮かび上がっています。

このチャートは日経平均とTOPIX大型株・中型株・小型株の各規模別指標の年足による比較です。

リーマンショック前の2007年の高値から横に引いた破線を見ると、日経平均、中型株、小型株がこのところそれぞれその水準を大きく上回ってきているのに対して、大型株だけが低迷しています。

これを持って大型株の多くが新しいビジネスの仕組みにおいて既に負け組に属していることを表している証しと見ることができます。

日経平均が定期的な銘柄入れ替えによって勝ち組の企業をその構成に反映し、勝ち組の指標として機能しているのに対して、その計算方法のために大型株の動きに大きく影響されるTOPIXは今や負け組企業の指標として機能しているようにすら見えます。

  ポイント

チャートで見る限りTOPIXの中小規模企業の中には勝ち組企業がかなり多いと考えられます。

そう言える一つの根拠は(特に)小型銘柄のチャートがアメリカのSP500よりはるかに高いパフォーマンスを示していると言う事実です。

このことは、そうした小型銘柄のビジネスモデルの転換・構築が米国の中小の銘柄企業よりも上手く行っている可能性を表しており、日経平均予備軍の有望性を物語っていると言えます。

ちなみに今のところSP500がTOPIXのような負け組指標となっている根拠は見当たりません。

つまり、それは今後負け組の大企業が淘汰されるまで、日経平均の入替による勝ち組増加によってさらにNT倍率の相関性が崩れてゆく可能性を示しています。

多くの投資家は今でも日経平均よりもTOPIXの方を(日本経済の実態を表していると考えて)重視していますが、その考えが疑わしいことは上のチャートから伺うことができると思います。

NT間の疑似裁定性はこのTOPIXの負け組のバイアスを過剰に反映した計算方法の見直しが行われるまでは、相関性と言う意味では以前よりもずっと低いものだと考えておくべきです。



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