三猿金泉録 押えの知識四要

三猿金泉録とは

三猿金泉秘録は1700年代後半に活躍した大阪の米相場師・牛田権三郎(慈雲斎)が書き残した相場指南書です。

牛田権三郎の活躍した大阪の米会所(米相場)は世界最初の公設先物市場として海外でも研究されていますが、牛田権三郎の伝承については二百有余年も昔のことで不明な点が多く、この「三猿金泉録」のみを主なよりどころとしています。

中には「三猿金泉秘録」などと謳っている解説もありますが、この指南書自体は昔からかなり有名なものであり、その意味では「秘録」と言うような性格のものではないと言えます。

「三猿」の意味

「三猿」の意味するところについては有名な以下の序文で述べられています。
「三猿とは、すなわち見猿(みざる)、言猿(いわざる)、聞猿(きかざる)の三つなり。
眼に強変(きょうへん)を見て、心に強変の淵に沈むことなかれ、ただ心に売りを含むべし。
耳に弱変(じゃくへん)を聞きて、心に弱変の淵に沈むことなかれ、ただ心に買いを含むべし。
強弱を見聞くとも人に語ることなかれ、言えば人の心を惑わす。 これ三猿の秘密なり。
金泉録として、この書の名とする」

意味するところは色々な社会状況や相場状況の変化などに惑わされたり、他人の言葉に踊らされたり、また自分だけが知りえたような情報や成果を調子に乗って指導しようとしたり自慢するようなことはせず、平常心で相場に取り組むべきだと言う事で、これを有名な「見ざる・聞かざる・言わざる」と言う論語の教えを仏教が借用して広まっていたとされる諺にあててキャッチーに示したものです。

理外の理

強変・弱変はアブノーマルな強気相場・弱気相場と言う意味で象徴的に使っています。

相場の高低つまり波動のサイクルは陰陽で説明される自然の摂理に合致するものだと言う前提で相場の再帰性を説明しようとしています。

このサイクルの規則性にみられるような深遠な法則がこの世や相場のすべてを支配しているに相違ないが、その法則の多くは人間には計り知れない部分で出来ていてそれを「理外の理」としています。

過去に例がないような思わぬ出来事が社会や相場に起きるのは「理外の理」であるし、そうした人知をこえておこる出来事を起こす源はまた「理外の理」です。

そしてそうした自然の摂理たるサイクルを知恵を超えて人間が感覚で感じ取るのも「理外の理」です。

牛田権三郎の取り組んだ相場は大阪堂島の米相場つまりコモディティ市場です。

コモディティは社会の動きや政治の動きを映す鏡ですが、それ以上に相場師たちはコメと言う農作物を商う重要なファクターとして気象などの自然のサイクルや自然のカタストロフな事象に神経を使います。

そうしたものを細密に観察し続けた結果見出したのが「理外の理」と言う考えではないかと思えます。

「理外の理」と言われれば懸命に相場に取り組んでいる多くの方は、ピンと来るもの、うなずけるものがそれぞれにあるとは思いますが、米と言う農作物を対象としていたと言う部分に注目すると、これにはもう少し角度の違う味わいがある教えのようにも思えます。

牛田権三郎は相場に取り組む心構えと、この相場サイクルの再帰性を研究した結果のうち法則性のあるものを「三猿金泉録」としてまとめたと言うことです。

  ヒント

リンクの貼ってある格言はこのサイト内の解説ページが参照できます。

三猿金泉秘録74句(50音順)


上がり足短く見ゆる米ならば、気は強くとも買いは禁制
上がるべき気が尽きぬれば自ずから下るところが天性と知れ
上がる理と皆人ごとに極めたる大鞘ものに、はたの種まけ
上がる理も時いたらねば、あがるまじ理を非にまげて米に随え(したがえ)
上がる理も時節がこねば上がらぬぞ、せき買いをして悔やむまじきぞ
秋風や、から腹あがりの旬来れば、金の湧き出る飛び上がりなり
秋高く人気も強く我もまた、買いたき時が米の売り旬
秋の米、空腹上がり待ち受けて、二割上がらば売りの種蒔け
秋安く人気も弱く、我もまた売りたき時は米の買い旬
雨風の日を待ち受けて米は売れ、日和を待ちて米を買うべし
いつとても買い落城の弱峠、怖いところを買うが極意ぞ
いつとても売り落城の高峠、怖いところを売るが極意ぞ
いつにても三割下げは米くづれ、萬天元の買旬と知れ
いつにても二割上げては九分一分、千天元の売り旬と知れ
売り買いに徳の乗りたる商いは半扱(はんきゅう)商いのすくい場と知れ
売り買いは五分高下にて、平すべし乗せも同じく五分高下なり
売り買いをせかず急がず待つは仁、徳の乗るまで待つも仁なり
売りぜきをせぬが弱気の秘密なり、いつでも高き日を待って売れ
買米を一度に買うは無分別、二度に買うべし、二度に売るべし
買いぜきをせぬが強気の秘密なり、いつでも安き日を待って買え
風吹かぬ二百二十日の安値段、定式として待ち受けて買え
凶年の米の切れ目の高なぐれ、待って売るのが仁の徳なり
強変あらわれ出れば皆強気、了簡なしに売りの種蒔け
下るほど、くだれば弱気の気も尽きて、上るところが天性と知れ
高下とも一割五分の大鞘は、いつでも米にむかう理と知れ
高下とも五分一割に従いて、二割三割は向かう理と知れ
高下とも五分一割は乗せがよし中墨すぎて乗せは馬鹿なり
高下とも長き足には乗せがよし短き足には乗せざるがよし
洪水と大風ふきの飛び上がりは、阿呆になって売りの種蒔け
古米多く豊年と見る安米は、から腹上がりの年と知るべし
古米少なく強変が出て高米は、から腹下がりの年と知るべし
米枯れに売り落城の飛び上げは、たわけになりて売りの種蒔け
米崩れ買い落城の飛び下げは、ただ眼をふさぎ買いの種蒔け
米安く人気の弱き日は買うて、人気の強き高き日は売る
下がる理と皆人ごとに極めたる、大下鞘に買いの種まけ
下がる理も時いたらねば下がるまじ、売りぜきするは大たわけなり
五月米、人気弱くて値は上がる、四月下旬に買いの種蒔け
五月米、人気弱くて値は上がる、飛び上がり商いの旬と知るべし
三平も二平もいらぬ安値段、せかずに待つが大秘密なり
三割の高下に向かう商いは金の湧き出る泉とは知れ
三割の高下に徳は転変し、損はならすが秘密なりけり
座りには売転変に買転変、徳をにがすな半扱安楽
せく故に安きを売りて、あたまから高きを買うて、から臼を踏む
千人が千人ながら強気なら、くだるべき理を含む米なり
備えなき商いならば、いつにても損得なしに商い禁制
高きをば、せかず急がず待つは仁、向かうは勇、利乗せは智の徳
高安に気の安らかな半扱商い、寝ても起きても徳とれるなり
高安の理は空理にて眼に見えず影も形も無きものが体
只せくな、せく商いに徳はなし、五分安を買い五分高を売れ
只せくな百俵上げて百俵は下げたためしが多きことなり
提灯(ちょうちん)と釣鐘と見よ、売りと買い、買い徳多し売り損多し
常弱気、損得知らぬ大たわけ貧乏神の氏子たるらむ
天性の利は水無月に出ると知れ、高安ともに米にしたがえ
飛び下げは、いつでも米に向かうべし、飛びあげならば米にしたがえ
鋸(のこぎり)の拍子はずすな転変商い、から臼踏みとなると身を切る
野も山も皆いちめんに弱気なら、阿呆になって米を買うべし
売買は戦(いくさ)の備えも同じ事、米商いの軍兵は金
売買をせけばせくほど損をする、とんと休んで手を変えてみよ
春上げと見て買上る冬の米、春はなかなか高くなるまじ
春下げと見て値の安き冬の米、春はなかなか安くなるまじ
春三月、大高下なき座り旬、高き日は売れ、安き日は買え
百年に九十九年の高安は三割越えぬものと知るべし
ふところに金をたやさぬ覚悟せよ、米は米釣る餌(えさ)と知るべし
分別も思案もいらぬ買い旬は、人の捨てたる米崩れなり
変乗の年は空腹下がりなり、秋名月に売りの種蒔け
豊年は万人、気弱く我弱し、安きによって売りは禁制
万人が呆れ果てたる値が出れば、それが高下の界(さかい)なりけり
万人が心に迷う米なれば、連れなき道へおもむくがよし
万人が万人ながら強気なら、たわけになりて米を売るべし
万人が万人ながら弱気なら、のぼるべき理を含む米なり
向かう理は高きを売りて安きを買う、米商いの大秘密なり
文殊でも備えのたたぬ商いは高下の変が出れば破るる
弱気の理、世にあらわれ出れば、皆弱気、何時にても買いの種蒔け
利徳多く常に一心やすらかな福徳円満安楽商いと知れ

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