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ギャン(william delbert gann)は独特の方法で数々の投資法を提示した20世紀初頭の米国の伝説的な相場師で、現在の日本円にすれば数千億円もの資産を相場で稼いだとされていますが、一方で彼の本業は投資アドバイス業だったと言う話も見受けられます。
彼は単純な幾何学を使ったいくつかの投資法をあみだしており、なかでもこのギャン・アングルが有名です。
また、彼の名を特に有名にしているのはギャン理論、あるいは28の価値あるルールなどと呼ばれる相場格言集で、当事のウォール街などでよく言われた格言や投資ルールを彼なりに編纂したものです。
ウォール街の格言はわかりやすく実践的なものが多いため現在でも広く参考にされています。

アングルの引き方
ギャン・アングルは「相場の値動きは自然科学の振動の法則に支配されており、その振動を検証することで、重要な支持線と抵抗線を特定できる」と言うギャンの直感から導かれた前提で組み立てられています。
時間と価格の間の比例関係を基準として数本の扇(ファン)状の放射ラインを引きこのラインと実際の価格の関係で値動きの特性を見ます。
つまり値動きはこのようにラインに支配されていると考えています。

基準となる線は基点となる過去の価格からその後の象徴的な高値安値に引いた線でこれを1×1としています。
1×1とは時間座標1目盛りに対して価格座標1目盛りと言う意味で、正方形の対角線の角度を想像してもらえればわかるように45度が初期値です。
チャートでは座標の軸目の取り方などで当然マス目の事情は変わるために、「抽象的な高値安値」などと漠然と表現していますが、ある程度上記の考えに正確にアングルを引けるケースもあれば値段の刻みや値動きの状況・チャートの状況によってはそれを見たフィーリングで引く方がうまくゆく場合も多々あります。

概ね一定の期間の振幅を持つチャートを見て感覚的に1×1線(45度)と感じる起点終点を見つけて、それを基準にしてそれ以外の振幅の起点終点にファンを合わせると言う方法が最初は簡単ですが、起点終点の取り方はこのように抽象的であるが故、解釈が複数存在することも当然あり得ます。
引き方の解釈については、ついつい見た目でスッキリするものや、相場解釈上都合の良いラインをフィーリングで引くと言った個人の趣味の世界の様相を呈する場合も多く、この点には一定の配慮が必要かもしれません。

移動平均線などと異なりアングル線は(ギャンアングルに限らず)起点・終点と傾斜で表現するために、アングル系ではどのラインが相場に合致しているかを見極められる主観的な要素が大きくなり、その分(特に現在の値動きを説明する直近のラインを選択する場合には)引き手の経験や才能が求められる場合がある点にも注意が必要です。

チャート上に1×1の基準が定まれば振動と言うものと相場との関係性は次のような角度で扇状に引かれた各線のどの線上にトレンドが乗っているかが重要になります。
1×1を45度とした場合の各ラインの角度は以下の通りです。

1×8=82.5度
1×4=75度
1×3=71.25度
1×2=63.75度
1×1=45度
2×1=26.25度
3×1=18.75度
4×1=15度
8×1=7.5度

それぞれ、この比率で描ける時間軸と価格軸の正方形もしくは長方形の対角線の角度と考えればよいわけですが、実際には45度を12等分した3.75度の倍数に丸めたものです。
※実際の値を最も近似の3.75の倍数にしています。

トレンドライン(ギャンの提案するトレンドライン)とは、基点となる価格座標から相対的な高値、または安値などを直線で結んだものでギャンアングルの1×1もこのトレンドラインと考えられます。

これらの角度の意味は客観的に説明の出来るものでも根拠のあるものでもなく、また幾何学を応用しているとされるだけで、実際には数学で言う幾何学との相関性・関連性は全くなく(幾何学的な模様をチャートに描いているだけ)あくまでもギャンの経験から主観的に導かれた考えによるものです。
ただテクニカル自体、その根拠は科学や数学ではなくアナリストの経験則や直観を普遍化するためにチャートや数式を使ったものなので、ギャンの考えは幾何学とは無関係=テクニカルとして無意味と言う意味ではありません。
ギャンの経歴やその末路にかかわらず、彼の提案がこうして長く研究されていること自体、一定の説得力を持った経験則であることが、多くの後の研究家の経験上も否定できないものであるためと考えられます。

彼の生きた時代の背景を考慮したうえで、これを過大評価することなく取り組めば、フィーリングの合う人にはそれなりのヒントがつかめる可能性は大いにあります。



アングルの見方
ギャンは相場の周期性と循環についてよく言われるように、自然の摂理としての繰り返しが根底にあるとしています。
相場のサイクルは大小いくつものサイクルとそれらの組み合わせで成立しているとし、サイクルの基点は大きな変動の終了地点であり、またそのサイクルにおける最高値と最安値も過去のサイクルに支配されているため、それらが現れるタイミングにも周期性があるとして、「振動の法則性」と言う考え方の導入を試みました。

使い方は1×1を任意の点からそのまま45度の線として引きファン(放射状の線)をあわせて付加すると言う方法の他、任意の点と象徴的な高値や安値を直線で結んだトレンドラインに1×1ラインを重ね(45度になるとは限りません)それを基準にファンラインを引いてゆくと言うものや、任意の点を前後にずらして45度の傾斜が一番うまく価格の傾斜に合うように配置した上でファン・ラインを引くなどの方法があります。
1×1線以外は支持線・若しくは抵抗線と捉えられますが、2×1及び1×2線が標準であり重要とします。
この基準線から見て支持が内側のラインで働いているほどサポートは強く、逆に外側のラインで働いているほどサポートが弱いと考えます。
同様に抵抗線として働くラインが内側になるほど抵抗が強く外側ほど抵抗が弱いと判断します。
また、45度線よりも上に価格がある場合は強気相場、45度線よりも下に価格がある場合は弱気相場と見る見方もあるそうです。


ギャンの考えた周期
ギャンは相場の周期性では大サイクルとして、90年、60年、45年、30年、20年、小サイクルとして 7年、5年、3年、2年、1年を節目としてあげており、特に最高値や最安値が出た場合にはそこからの1年と言う周期を重視していました。
1年は四季の一巡であり、トレンドの循環が必ず見られると考えていました。

また、高値・安値のレコードを重要な周期の起点とする考えの基本にはアニバーサリー・デイト(記念日)と言う思想がありました。
これは、トレンドの転換など市場の重要なイベントは過去のそうした節目と同じ月に起きているとする経験と観察に基づいた考えです。


幾何学の応用
ギャンは「秘数」などと言うキリスト教の秘密結社から発生したようなものも研究していたようで、全方位を一周する360度という数値がかなり重要なものと考え、時間軸にもこの360度を形成する代表的な角度に相当する数字を用いました。
重要な転換点からから数えて30日、90日、120日、180日、360日などの円周等分の数値にあたる日を経過した時期に相場は転換を示すと考えました。
また、この考えは、週数、月数、年数にも適用されました。
90週、60ヵ月、30年などがこれにあたります。


ディケイド(ギャンの10年運気周期)
ディケイドとはなにやら宗教的な名称で、内容はかなり前時代的・主観的(統計根拠が不明)なものですが、これはギャンが長期にわたりダウ平均株価を観察して導き出したものとされています。

西暦末尾が1の年
10年サイクルのスタートとなります。
弱気の年ですが、底を打った後に上昇に転ずるとしています。
西暦末尾が2の年
穏やかな上昇、または弱気相場の中で小さな上げ下げを伴ないながら、徐々に上昇していく年としています。
西暦末尾が3の年
弱気相場の始まり。通常、前年からの上昇は3~4月まで続いたあと、下落に転じるとしています。
また、弱気相場が完了していない場合は2月または3月に底入れするとしています。
西暦末尾が4の年
弱気の年であるが底入れし、10年サイクルの中で下降サイクルの終焉に当たることが多いとしています。
西暦末尾が5の年
上昇サイクルの最初を飾る、非常に明確な強気相場としています。
西暦末尾が6の年
前年の上昇サイクルは秋まで持続し、その後急落するとしています。
西暦末尾が7の年
弱気の秘数である7に支配されており、いったん底をつけることが多いとしています。
西暦末尾が8の年
10年サイクルで最も強気の年であり、市場全体が高騰することが多いとしています。
西暦末尾が9の年
9は10進法の中で最大の数字であり、通常、最後の強気相場を形成するのですが、秋から年末にかけて弱気相場が始まり、暴落相場がスタートすることもあるとしています。
一般に年前半の相場が強ければ強いほどその後の急落は厳しいものになります。
西暦末尾が0の年
弱気の年で、戻りが2~3月頃まで続くことが多いのですが、その後はかなりきつい下げが11月または12月まで続くものの、12月頃から新しいサイクル芽が出てきて、やがて強気サイクルが発生するとしています。

ギャンの生きた時代背景ががわかるような内容ですが、古きよき時代だったのでしょうか・・・、
いかがお感じでしょう。

28の価値あるルール

これもネットでは「ギャン理論」と呼ばれているものです。

これらはギャンの考えと言うより当時のウォール街で言われていた心得やの有名な格言集などを彼が編纂しものなので、それなりに価値のあるものです。

投資アドバイス業の顧客である投資家(ギャンは主に地方の投資家を顧客にしていたそうです)に提示するネタがなくなった時に、ギャンがこれを示したとされるものですが、ネットでなんでも調べられる今と違って、ウォール街では当時すでに古典的な格言であってもそれを目にする機会のほぼなかった顧客にとっては「非常に価値のある教え」とされて大切にされたと言われています。

  1. 資金は10等分し、1回の取引に資金の10分の1以上のリスクは決してとらない。
  2. ストップ・ロス・オーダー(逆指し値注文)を使うこと。取引にあたっては常に3~5ポイント差でストップ・ロス・オーダーを置いてボジションを守ること。
  3. 過剰な売買は決してしない。これをすることは資金運用の原則に反することになる。
  4. 儲けを損失に変えない。3ポイント以上の含みができれば、利益を失わないようにストップ・ロス・オーダーを近づけること。
  5. トレンドに逆らわない。自分のチャート(とルール)に従って相場のトレンドに確信がもてない時は売買しない。
  6. 疑わしい時は手仕舞い、取引をしない。「売るべし、買うべし、休むべし」トレンドが明確でない時は売買しない。
  7. 活発な銘柄(市場)のみを取引する。動きが鈍く、活気のない銘柄(市場)には手を出さない。
  8. リスクの均等分散。できれば四つか五つの銘柄(2種か3種の商品)を取引する。資金全部を1銘柄(商品)に集中させることは避ける。
  9. 指し値をしてはならないし、売買の価格を固定してはならない。成り行きで売買すること。
  10. 十分な理由なしで手仕舞わない。利益を守るには、ストップ・ロス・オーダーでフォローする。
  11. 実現益は蓄積せよ。連続して取引に成功したら、一部は温存し口座に入れ、緊急時やパニック時にだけ使うこと。
  12. 配当目当てで株を買わない。小掬い商いはしない。
  13. 難平をしない。難平はトレーダーの最大の誤りである。建玉法は大きく分けて「利乗せ」と「難平」とがある。
    追加建玉をするのは相場が有利に動いている時に限定する(利乗せ)。
  14. 我慢できないというだけで相場から逃げない。また、待ちきれなくなったというだけで手を出さない。
  15. 小さな儲けと大きな損は避ける。
  16. 建玉と同時にストップ・ロス・オーダーを出し、これをキャンセルしない。
  17. あまり頻繁に売買しない。のべつ幕なしに売買を重ねると判断が変わることが増え、トレンドを見誤る可能性が高まる。
  18. 買いをいとわないのと同様に、空売りをいとわないこと。トレンドに追随し、儲けることを目的とする。
  19. 安いというだけで買ってはならないし、高いというだけで売ってはならない。
  20. ピラミッディング(乗せ商い)のタイミングに注意する。株式(商品)が非常に活発になり抵抗線を抜けるのを待ってから買い増しし、支持線を割るまで待ってから売り増しする。
  21. 上げ相場の場合、あげるほど小さな枚数で買い増ししていく。
    買い場でピラミッディングをするときは発行済株数の少ない銘柄を選び、空売りの時は発行済株数の多い銘柄を選ぶ。
  22. 買いのピラミッディングをするには強力な上昇トレンドを示す銘柄(商品)を選び、売りのピラミッディングをするには明確な下降トレンドを示す銘柄(商品)を選ぶ。
  23. ヘッジは決してしない。ある銘柄(商品)を買い建てしていてその価格が下がり始めた時、これをヘッジしようとして別の銘柄(商品)を空売りしてはいけない。この場合は相場から手を引いて損を確定し、次の機会を待つ。
  24. 十分な理由なしにポジションを変えないこと。取引する場合は十分な理由に基づくか、または明確な計画(ルール)によること。また、相場のトレンドが変わる明白な微候なしには手を引かない。
  25. 長期間成功し儲けた後で取引量を増やすことは避ける。いかに調子がよくても満玉を張ってはならない。
  26. 相場が天底となるときを当て推量してはならない。天底は相場が明らかにする。明確なルールに従うことで、相場をすることができる。
  27. 自分よりも相場を知らない人の助言に従ってはならない。相場で成功するには、自分で研究し、自分なりの意見をもたなければならない。
  28. 損が出た後では取引量を縮めよ。もし3回連続で損をしたなら、取引量を減らし、残っている元手の10分の1のリスクだけを取る。
  29. 間違えて入るのをさけるのと同じく、間違えて手仕舞うことも避ける。


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