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ダウ理論

ダウ理論(Dow Theory)とは、19世紀終盤にウォール街で活躍したジャーナリストチャールズ・ダウが提唱した市場での値動きのパターンを分析して導き出したテクニカルの基本ともいえる定義です。
チャールズ・ダウ(Charles Henry Dow 1851 - 1902)はアメリカのジャーナリストで、もともとNY証券取引所での相場に関する記事を主に担当していましたが、その後エドワード・ジョーンズらと三人で1882年に後の『ウォール・ストリート・ジャーナル』につながるダウ・ジョーンズ社を設立しました。
チャールズ・ダウの考案した平均株価算出法を使ってダウ・ジョーンズ社が算出する「NYダウ平均株価」や同様の算出法を用いた「日経225平均株価」は現在でも世界経済の主要な指標となっています。
ダウ理論の定義は以下の六つのものとされています。
  1. 平均はすべての事象を織り込む
  2. トレンドには3種類ある
  3. 主要トレンドは3段階からなる
  4. 平均は相互に確認されなければならない
  5. トレンドは出来高でも確認されなければならない
  6. トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する

これらの定義は、以下の内容でわかるように、すべてがチャート分析の基本であり、これらの定義はその後に開発されたさまざまなテクニカル手法に応用されています。

  1. 平均はすべての事象を織り込む
    ここで言う平均とは移動平均のことではなく、日経平均やダウ平均などの主要市場における主要銘柄の平均値によって経済動向の指標とするような平均株価のことです。
    テクニカル分析では市場を世の中の森羅万象を映し出す鏡のようなものであり、その映し出された姿が価格であり出来高であるところの「数字・チャート」であると解釈しています。
    この基本的な考え方はチャールズ・ダウのこの定義を基にしています。
    政治的な事象を始めとして、市場のあらゆるファンダメンタルズ(材料)や投資心理、さらに世の中の事件・事象・天変地異など身の回りで起こっているすべてが市場に数字と言う形で反映されてくると言う考えです
    そしてその市場における価格の平均値である平均株価こそが総合的に世の中を映し出したものであると考えます。

  2. トレンドには3種類ある
    ダウ理論では、価格変動と言うものをトレンド(市場動向による価格の上昇下落の傾向性)と見て、そのトレンドを以下の三種類に分類しています。
    ①主要トレンド
    ②二次トレンド
    ③小トレンド

    これらのトレンドは相互に連関しています。
    主要波動は、1年から数年にわたる大きな波のトレンドですが、二次波動は三週間から三ヶ月程度の中くらいのリズムで主要トレンドの調整局面として発生するものと捉えます。
    つまり、二次トレンドは主要トレンドの上昇時における反落、または、下落時における反騰であり、それまでの上昇や下落の三分の一から三分の二の間で主に二分の一程度を帳消しにする場合が多いとされます。
    小トレンドは、三週間未満の変動で二次トレンドの微調整局面として日々ベースで操作されるものと捉えます。

  3. 主要トレンドは3段階からなる
    次に数年にわたる大トレンドである主要トレンドだけを更に定義し、それは市場の同行に合わせて三つの段階からなるとしています。
    ①先行期 市場価格が下落し全ての悪材料を織り込み済みと判断した価格は、下落しているか底値圏で上下しています。
    市場は弱気・強気を織り交ぜながら上昇のきっかけを探ってゆきます。
    弱気は買い動機の放棄で始まるとしています。
    目先的に動くことに優れた投資家は、売り投げを始めて、期待した利益は急速に消失しはじめます。
    強気は、最悪のニュースの消化と将来に対する自信の回復とともにはじまります。
    これは目先的に動くことのできる少数の投資家がいわゆる"底値買い"を始める始動期です。
    ②追随期 市場価格の上昇を見て追随者が買いを入れる時期で、価格は、上昇局面にあります。
    これは現実の回復に対する反応で出来高も増加し、投資家がもっとも利益を得やすい時期です。
    しかし、同時進行的に経済活動と、企業収益の低下が明らかになってきて、市場での買い方は少なくなり、売り急ぎから株価の下落があります。
    ③利食期 価格が充分に上昇したところを見て、先行期に買いを入れた投資家が売りに出て利益を確定する時期で、価格は既にその前から上昇局面にあるものの、その上昇する値幅は小さくなっています。
    自信過剰と過熱感から根拠の薄い憶測などを材料に上伸し、出来高も膨張しますが高値波乱を起こしやすくなります。

    そして、下落のクライマックスとなると、市場の実態とは無関係に売られる場合もでてきます。
    こうして最後の利食い売りの対象となって急落します。

  4. 平均は相互に確認されなければならない
    複数の信頼できる平均的指標が存在する場合には、そのすべてに同様のシグナルが見られない場合には明らかなトレンドとして捉えることは出来ないとしています。
    チャールズ・ダウが活躍した時代のアメリカでは、工業生産が盛んになると共に製品を輸送するための鉄道が整備された時期で、工業生産の好調・不振は即座に鉄道業の経営に影響したことから、ダウが創刊した『ウォールストリート・ジャーナル』ではダウ・ジョーンズ工業平均株価と運輸株平均をチャート形式で掲載してました。
    この「平均は相互に確認されなければならない」と言う項目はこの当事のダウ・ジョーンズ工業平均株価と運輸株平均の並存状態を想定して定義されたもので、今の日本で日経225の補足となる平均株価を見つけることは難しいかもしれません。

  5. トレンドは出来高でも確認されなければならない 一日の動きが最終的に集約されたのが「終値」であり、その終値が翌日以降の相場動向や投資家心理に最も大きな影響を与えているとされていますが、同様にトレンド発生の確認手段として出来高の推移も重視すべきだとしています。
    例えば上昇局面においては値上がり時に出来高が増加し値下がり時には出来高が減少、下降局面においては逆になって値下がり時に出来高が増加し値上がり時に出来高が減少します。

    19世紀松の米国の株式市場では主要トレンドに従って取引する投資家が多数派であり、二次トレンドや小トレンドで利益を得ようとする投資家は少数派であると考え、それが出来高の多少に反映すると考えられました。
    そこで、こうした上昇局面と下降局面で並行的にみられる値上がり値下がりと出来高の関係が崩れる時、つまり強気市場と見られている時期の上昇時出来高増加が伴わない場合や、逆に弱気相場とみられる場面での上昇に出来高が増加が伴ったりすれば、それは何かの偏重であり、それまでのトレンドが近く反転することを示すシグナルと見てよいと定義しています。

  6. トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
    この定義では、現在の市場で発現しているトレンドは、明確にトレンドの転換シグナルが現れるまで継続し続けるとしていて、トレンドの転換は、その波動に関して直前の高値を抜けず直前の安値を下回ったときであると考えます。

    このトレンド転換の見極め方と言うのはアナリストや投資家が日々研究し、独自の方法や代替法などで対処している部分で明快な答えはないのですが、安易にトレンドが転換したと早合点をしないようにと言う意味もあると思います。



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