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寄り引けトレード

利食い損切りのロジカルな判断はかなり難しく、また、一応のロジックを完成しても利食いや損切り時の市場や板の状態によって必ずしもそれが再現できなかったり、スリッページが想定以上になったりと言う問題もあって、過去のパフォーマンス検証の信頼性は必ずしも正確とは言えないレベルになることが多いものです。

こうしたいくつかのロジック作成に関する難問に一定の成果で答えられそうなトレードスタイルが「寄り引けトレード」です。

「寄り引けトレード」とは文字通り寄りで仕掛けて引けで仕舞う、もしくは引けで仕掛けて寄りで仕舞うトレードスタイルで原則として、ザラバ中のトレードは行いません。

寄りならばプレオープンの時間帯、引けならばプレクローズの時間帯に「成り行き注文」を出すのが基本です。

寄り引けの成り行き注文は原則として始値・終値で成立すると考えられるので、スリッページなどのパフォーマンス検証上の曖昧な点は回避することができ、再現性の高い過去成績の算出が期待できます。


寄り引け売買ロジックのスタイル
寄り引けトレードは通常デイトレードで行い、始値と終値の差もしくは前日終値と当日始値の差を取引の対象にします。
鞘トレードなどでは寄り引けのスウィングと言う手法も見受けられますが、寄り引けでは中途のロスカットをしないため損失コントロールのためにも日々損益を確定するのが基本です。

こうしたことから基本は当日のザラバ中もしくはオーバーナイト間の価格のベクトルを予想できるようなロジックを使います。


ローソクによる寄り引けシステム
これはネットではわりと有名なもので、ロジックは以下のような簡単なものです。
「陽線が二本続いたら翌日の寄り付きで売り注文、大引けで返済注文」
日足のローソクを使って行うトレードで、陽線が三本続くことはあまりないと言う過去の経験則を応用したものです。
このロジックの利点はシンプルながら実用性は認められる範囲の成績と検証結果を持っていることです。
更に当日のシグナルが前日の引け時点ですでに出ていると言うことで、検証の再現性は抜群ですし、早い段階のシグナル発生は他のロジックとの複合や裁量を加えると言う事でも有利に働きます。
 ⇒ローソクのシグナル一覧


日経ダウシステム。
いちのみやあいこさんの著書「1日5分で超カンタン!"株&日経225"システムトレードで大儲けする本」(扶桑社)という本に紹介されている日経先物のシンプルなシステムトレードでこのロジックもネット上ではいろいろと紹介されています。
そのロジックは…、
前日のニューヨークダウ(指数ベース)が上昇したら、当日日経225先物を寄り付きで「売り」大引けで「返済」する。
前日のニューヨークダウ(指数ベース)が下落したら、当日日経225先物を寄り付きで「買い」大引けで「返済」する。
…というものです。

ニューヨークダウと日経平均の連動性は非常に高く、東京市場はニューヨークの顔色を伺うような相場となることが多いことや、外人投資家の動向が東京市場(現物株)ニューヨーク株、日経先物などのヘッジバランスで、相関性の高い動きを作っていることがこのロジックの視点であると思われます。
「日経ダウシステム」では(表現はちょっと違うかもしれませんが)「多くの人はニューヨークが上がれば東京が上がると考えているが、実際にはニューヨークの上げは寄付き時点で既に始値に反映されているために多くの場合、東京はそこからの調整であるために下げるケースも多い…」と言った趣旨のことを指摘していますが、まさにその通りで、シンプルながら勝敗はともかくもその時の相場の位相によっては意味のある手法であると思います。

またこの手法もニューヨーク市場が引ける早朝には完全なシグナルが発生すると言う点では、ギリギリにならないとシグナルが出ないものや、始値を見ないとシグナルを出せないものに比べれば再現性は優秀であると言えます。

但し、このダウ逆張り法のシステムトレードは、書籍が出版された2006年当時は非常に有効でしたが、リーマンショック以降はあまり機能していないようです。
これは日経225先物のダウ追従性・相関性がリーマン後の時期に崩れていることが原因の一つであり、またリーマン後のアメリカ経済の弱さから市場の参照がダウの他に中国なども意識しだしたことでNYダウ:日経の相関性にワンクッションが入っていることなどが考えられます。

このことからこのロジックは今後中国の牽引力が薄れたり、ニューヨークと東京の相関が2007年前後の状態のようにともに堅調さを見せた時には再び機能する可能性があります。



米国市場参照システム。
「日経ダウシステム」もそうですが、日本市場の米国相関性は寄り引けトレードの研究素材としては定番です。
この系統のロジックは数多く存在しますが、普通はニューヨークダウやシカゴ先物の前日当落率と日経225先物のオーバーナイト騰落率の比較が基本です。
前日騰落率は前日の取引時間(始値~終値)で見るタイプと、日々の騰落率(前々日終値~終値)で見るタイプがあってそれぞれに比較の基準や補助フィルターの実装などで有効性を確保しようとしています。

EX1:
NYDow騰落率=前日終値/前日始値
OSE騰落率=前日終値/当日始値(予測値)

また「日経ダウシステム」と同様の発想をベースにしたものでかなりシンプルなものもあります。

EX2:
シカゴ225の早朝の終値より大証225の始値(予測値)が大きかったら買い
シカゴ225の早朝の終値より大証225の始値(予測値)が小さかったら売り
※「日経ダウシステム」同様にこれでもかなり有効に働く時期があります。
 ある意味、こういうものでも機能する点がシステム売買構築のヒントともいえます。

但しこの方法はオーバーナイトの騰落率の一方の終点が寄付き始値であるため、気配値などから始値を予測してのシグナル発生と言う事で、過去検証の再現性には難点があります。
また米国市場と日本市場の相関性・連動性に依存しているので(日経ダウシステム同様)両者の景気が共に良い時期以外は有効に機能しない可能性があります。


バイアスシステム
こちらも2006年ごろネットで有名だったもので、日経225先物を日中ザラバは売り、オーバーナイトは買いのそれぞれ一辺倒で寄り引けトレードを繰り替えすと10年間で累積一億円近いプラスになると言うようなロジックで(その当時以降は検証していませんが…)、ニューヨークと東京の相関性が高い時にはこのようなバイアスが日経225先物にかかることはうなずけます。
ニューヨークが上げるオーバーナイトが陽線になり、日中がその調整で陰線になると言う事ではないかと想像します。
このロジックは実際10年続ければ数千万円から億に近い利益になるのですが、実のところドローダウンが激しすぎて、とても実践には向きません。
しかし、このようなバイアスが日経225先物に存在していることを知っておくことは、寄り引けトレードのロジック作成のために役立つ可能性があります。

これと同様にこの時期にはNT倍率に夜開いて、昼閉じると言う強いバイアスがあることが確認できました。
NT倍率を使ったロジック作成では、このバイアスを意識することは基本的なものと言えます。
また外国人の売買動向がTOPIXに反映されることの影響でNT倍率では数日間同じベクトルが連続する傾向が強いと言うバイアスがかかることもロジック作成時に抑えておくべきポイントです。
 ⇒NT倍率投資法
ディーラーに聞いた話ですが、外人は数日にわたってベクトルを変えないためにこういうことが起こりうるということです。


寄り引けトレードの参考ネタ。
有名なものにアノマリ―などを使うものもあります。
このページでも紹介している、日経平均の日ごとの当落統計をさらに個々のテイストで工夫してトレードに応用しようとするものなどがあります。
 ⇒寄付き前の市場サマリ
 ⇒アノマリー投資法
アノマリーは事前にシグナルが発生するため、過去の検証の再現性は非常に優れています。

バイアスを使ったものもあります。
曜日バイアスと言うのがあります。
月曜日から金曜日までで当落の傾向がありそれが過去の検証上強い日もあるため確率の高い曜日を選んでトレードすると言うものです。
またあるロジックを作成した場合そのオリジナルロジックにおける曜日バイアスを検証してみると比較的顕著な傾向が出ることもあります。
バイアスは月ごとにも傾向が出ます。
年末年始年度末などは一定の傾向がありバイアスが認められます。
また月末・月初がある種のロジックでは特徴的なバイアスを示すと言う事もあります。
こうした月単位や日にち単位のバイアスも加味しながら精度の高い曜日バイアスを作成しようと言う考えです。

よく言われるゴト日(5日、10日、15日、20日、25日、30日)を始めとした経済活動の基本的なイベントがある日の市場価格にかかるバイアスを検証してそれに合わせた方法を探ったり、逆にそうしたバイアスが顕著に表れる銘柄を探すなどの方法も寄り引けトレードのロジック作成に一定の意義が見いだせる可能性があります。
バイアスは大抵の場合事前にシグナルが発生するため、過去の検証の再現性は非常に優れています。

※この記事におけるアノマリーとバイアスの定義
ここでは、バイアスの存在を明確化するために偏りを生み出しそうな要素が認められるものはバイアスと捉え、偏りの根拠は曖昧ながら予測と結果に一定の相関関係が認められるものをアノマリーとして紹介しています。
別項(このサイトの他のページ)ではこのような定義に反していても一般的にアノマリーとされるものはアノマリーとして紹介しています。




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