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日経225オプション (序説)

オプション取引…
「オプション」と言う言葉自体は日常的によく耳にすると思います。
旅行商品などで「選択肢」を多数提示されてオプショナルツアーなどとうたわれたりしますが、オプションには「選択権」と言う意味があります。

225オプション取引の「オプション」とは「選択する権利」です。
では何を「選択する権利」かと言えば、「利益の選択」の権利です。

225先物でトレードする場合には利益を選択すれば、その引き換えに損失のリスクを負うことになります。
つまり利益だけを選択することはできません。
しかしオプションに「権利の買い手(相場価格の売買の買い手とは違います)」と言う立場で参加すれば利益の側だけを選択し、損失は無効にすることができます。

オプションには「権利の売り手」と「権利の買い手」と言う二つの立場があります。
この時、売り買いされる「権利」とは約束した価格(権利行使価格と言います)で取引最終日に「日経平均株価」を売り買いする権利であり、取引終了後に算出される「約束した価格」と「日経平均株価」の差額が投資家の損益になります。
実はこのとき、オプションの買い手は、その損益のうち損失の部分では権利を放棄し、利益の部分だけに権利を行使することができます。

権利の買い手は損失が出た場合に「約束した価格で日経平均株価を売買できる権利」を放棄することで損失は帳消しにできます。
この損失を帳消しにできると言うオプションの「買い手」の特別な権利がオプションの選択権である「利益の選択権」です。

これはある取引に参加して大きな利益が出たらまるごとそれをもらえるが、もし損失がでたら知らん顔して帳消しにすると言う買い手にとって実に都合の良いしくみに見えます。

しかし、当然のことながら都合よく損失をタダで帳消しにできるわけではありません。
権利を放棄すると言うことは、放棄すべき権利をもともと持っていたことになりますが、権利の買い手がその権利をどうやって手に入れたかと言うと最初に権利の売り手にオプション料(プレミアムと言います)と言う対価を払って手に入れたものです。
オプションの売り手はオプション料と言う定額の手数料を受け取ることで、もし買い手に利益が出れば際限なくそれを保証する義務を負います。
つまり、「買い手」は定額の手数料で保証を受けられる保険加入者ような立場に、一方の「売り手」は定額の手数料で「買い手」のリスクを受け持つ保険会社のような役割にそれぞれを例えることができます。

この損失放棄と言う「利益の選択権」の他にオプションでは取引参加にあたって多くの選択肢があります。
まず「買い手」になるか「売り手」になるかと言う選択です。
次に「買い手」として価格上昇を想定した取引の権利を選ぶか、それとも価格下降を想定した取引の権利を選ぶかと言う選択があります。
同様に「売り手」の方は価格上昇を想定して権利を売るか、逆に価格の下降を想定して権利を売るかと言う選択があります。
更にオプションでは225先物のように日経平均の動きに連動して動く目の前の相場の現在値を売り買いするのではなく、現在値水準を基準に250円間隔で設定された複数の「権利行使価格」と呼ばれる権利を行使するための基準価格の中から自分のトレードに都合の良いものを選択します。
※流動性が増してくる終了日の三か月前から125円間隔の「権利行使価格」が追加されます。

225先物では新規注文の約定時点の現在値を起点に損益が発生しますが、オプションではこの「権利行使価格」を約定値として損益が算出されます。
「買い手」は価格が上昇すると思えば現在値に一番近い買い目線(コールと言います)の「権利行使価格」を買い、下降すると思えば現在値に一番近い売り目線(プットと言います)の「権利行使価格」を買えば良いわけです。
しかし、現在利益を生んでいる「権利行使価格」や現在値に近いところにあって直近で利益になりそうな「権利行使価格」は既にそれなりのオプション料(プレミアム)になっているためにオプションの購入金額と将来の利益とを考えれば、そうしたものが必ずしも効率が良いとは言えません。
そのような場合、少し価格の開いた不利に見えるものでも、自分の投資にとって都合のよさそうなものを選択して購入することになります。
現在値から価格水準が乖離したオプションの価格(プレミアム)は当然安くてお手頃価格であるため、そうした手ごろなものばかりを狙う投資家もいますが、離れすぎたもの、安すぎるものには利益に結び付けるのが難しいものが多いと言えます。

「売り手」も同様に自分の投資判断で有利と考える「権利行使価格」を選択してこれを売ることでトレードに参加できます。

「権利行使価格」が行使できるのは取引最終日(SQ前日の限月)なので、権利行使価格とは限月に「その値段」で日経平均株価を売り買い(して損益を確定)できるチケットと言うことになります。
限月に日経平均株価を9100円で買えるチケットを持つ「買い手」は実際の限月で平均株価が9300円の価値になっていれば200円の儲けになりますし、また限月に日経平均株価を9300円で売れるチケットを持っていれば、限月の平均株価が9100円まで下った場合、9100円の価値しかないものが9300円で売れるので200円の儲けになります。
(日経平均が思惑と逆に動いて損失がでた場合チケットを放棄してそれを帳消しにします)

ここでは「オプションの売り」とか「オプションの買い」とか言った表現が、先物などの金融商品自体の「売り」や「買い」と言った行為を表す動詞ではなくではなく、市場参加者の立場の違いを表す名詞であることを明示するために今後「売方(うりかた)」「買方(かいかた)」と表現することにします。
なおオプションでは先物などの金融商品自体の「売り・買い」にあたる行為のうち「売り行為」にあたる相場下降目線の投資を「プット」、「買い行為」にあたる相場上昇目線の投資を「コール」と呼びます。
コールには「要求」プットには「課す」という意味があり、値上がりすれば利益を相手にコールし、値下がりすればその損失分を相手にプットすると言ったニュアンスかと思われます。
・「コール」は先物の「買い」に比定できる値上がりすれば利益を得られる投資。
・「プット」は先物の「売り」に比定できる相場の下落を狙った投資。


コールオプション値上がりすれば買方が利益を得る権利
プットオプション値下がりすれば買方が利益を得る権利
権利行使価格選択出来る価格で(プレミアムとの相殺が)損益分岐点
限月オプション自体の損益が確定する期限日
プレミアム買方が権利を入手するために売方に支払う金額

 
売方
買方
トレード
取引の権利を売る
取引の権利を買う
プレミアム
受取る権利保障手数料
支払う権利代金
権利・義務
約束に従って取引を保証する義務を負う
利益条件が満たされれば権利を行使できる
利 益
プレミアム代金のみ
日経平均と権利行使価格の差額
損 失
日経平均と権利行使価格の差額
プレミアム代金のみ
証拠金
必要
ナシ

買方:利益=限度ナシ、損失=限定的。
売方:利益=限定的、損失=限度ナシ。

225オプションの解説では良く買方は「損失限定的で利益は無限大」など説明されておりその点を見ると、権利の提供者である売方が損をして、買方が得ばかりするようで矛盾した商品にも思えますが、当然ながらオプション全体の公平性によってそれぞれの勝率は売方に有利になるように設計されています。
保険会社を見るとわかるように、一見受け取り手が得をするような気もしますが、実際には胴元が確率的にかなり有利なしくみの上に乗っているから保険業が成り立っています。
同様にオプションも実際の勝率は売方が圧倒的に有利ですし、実は細かな制度設計も売方のリスクに配慮されてできています。

それならば、今度は逆に「勝率のわずかな買方などいなくなるのではないか」と言う心配も出てきますが、オプションには保険加入者がたとえ保険の(掛け金はかけ捨てても大きなリスクが訪れた時にはその掛け金の何倍もの保証が得られると言う)特典にメリットを感じて保険契約するのとよく似たニーズがあります。
オプションの売方は保険会社同様に原則として何も起こらなければ安定的に利益を得られる構造になっていますが、ひとたび買方に権利が発生するような状況になると理論的には無限の損失を覚悟してその権利を保証しなければなりません。

保険では適用対象となるような災難が訪れた時に加入者の権利と保険会社の保証義務が発生します。
オプションをではこれをヘッジで使っているケースを考えるとわかりやすいと思いますが、その場合ヘッジしている金融商品に損失が出た時に買方の利益と売方の保証が発生します。

例えば株を大量に持っている場合に、原則として株は「買い」だけで「売り」からは入れませんし、暴落時には個別株の低い流動性などもあって手持ちのすべてを異変に気づいた後から急いで返済しようとしても難しいものです。
そこで大量の株の保有者などが、暴落のリスクをヘッジするための保険として登場するのが「買方」として参加するオプションのプット(売り目線の投資)です。
暴落の予感に反して、株が暴騰すれば保険金であるプレミアム(掛け捨て?)を持って行かれるだけの損失で、本元の株の儲けを手に入れることができますし、不幸にして予想通り暴落した場合には備えていたプットオプションが無限にヘッジしてくれて、理論的には株が暴落した分だけオプションが利益を生むことになり損失の相殺が期待できます。

実はオプションはもともとこのような株などのヘッジを目的として考えられて成立した商品であると思われますが、その後に金融商品としての発展の過程で成立当初は大手金融機関などが引き受けていた「売方」と言うポジションに多くの投資家が魅力を感じて参加するようになってきたために、ヘッジとは独立した方法でも利益の出し方が研究されて取引されるようになり、一見複雑な商品になったものと思われます。

最初は気候などで激しく変動する商品価格の安定を目的に作られた先物が、やがて投機の対象として有力な商品になっていったのと似たような経緯があったようです。

225オプションを理解するためには、特に「買方」としての参加を想定した場合には、その本来の目的に照らして先の現物株のヘッジの例のように225先物との組み合わせを前提にした形で考えるのがわかりやすいと思われます。
225先物のヘッジに同じ225先物を反対売買で両建てしても、ポジションはどこまでもニュートラルになるだけですが、オプションには損失限定的と言う非対称な特徴があるためにヘッジとしての組み合わせに意味が出てきます。
この損失限定と言うのは決して「大負けしないための安全弁」と言った意図で作られたものではなく、上記のようなヘッジをするために設計されたもので、保険として考えれば買方にとって実に有利な特徴なのです。

よくあるオプションの「買方」と言う立場で戦略を建てるなどと言う難解な方法や、オプションの「買方」と言うポジションを想定したトレンドの読み方などと言うこれまた非常に難解な方法を研究するよりも「買方」については(初心者にとっては)225先物で利益を担保するための組み合わせ戦略を考えるのが最も現実的でメリットがわかりやすい方法と言えます。


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